コラム PR

コミュニケーションのための魔法の言葉

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

皆さまは患者さんとのコミュニケーションで悩んでいませんか?

私は無駄話(世間話)が多い薬剤師です。すぐに薬の説明などに入るのではなく、近況を聴き、趣味などの話をし、前回の服薬からの状況を聴き、服薬指導に入ります。個人的には最初の導入の「近況」「趣味」などからも得られる情報は多いと感じています。

業務の効率化のために無駄話を避ける薬剤師、無駄話をしたくてもしてもらえない薬剤師、無駄話の仕方がわからずに逃げてしまう薬剤師と様々いると思います。

今回は新人薬剤師向けに「コミュニケーション」について記事にしました。

コミュニケーションは患者だけでなく、施設の看護師や医師との関係構築でも重要です。私はMRで働いていた時も薬剤師で開局したときも、この「魔法の言葉」1本で関係構築をしてきました。絶対にうまくいきます。

なぜ「近況」「趣味」など無駄話が必要か

この部分は意見が分かれると思います。多くの人を相手しなければならないので、このような無駄話を避けるべきだと教えてくれる方もいます。

しかし、私自身は下記3つの理由から必要だと感じています。

信頼関係がなければホンネがわからない

こんなことはありませんか?

「残薬ありませんか?」と質問をしていたが、「ありません」しか応えてくれませんでした。数か月後に大量の残薬が見つかりました。

処方箋の薬剤に変更がありましたが、「体調変わりありませんか?」と質問をしていたが、「ありません」しか応えてくれませんでした。

「本日の薬は…」と話を始めたが、「早くしてくれ」と返されてしまった。

これらはすべてコミュニケーションがうまく取れていない事例です。

信頼関係が築けていないので、相手はホンネを話してくれません。

ホンネがわからないので相手の役に立てているのかわからず仕事を続けなければなりません。

薬剤師が知りたい情報にアクセスできないだけでなく、薬剤師業務をするうえで多大なストレスを感じることになります。対人業務の最大の敵は対人ストレスですので、このストレスを最小にすることで対人業務が楽しくなります。

日常生活に沿った服薬指導が重要になる

全員が理解していることですが、服薬指導は実生活に生かしてもらう必要があります。服薬指導は「指導内容を覚えてもらう」「実生活で指導内容を実行してもらう」と2つのフェーズがあるので、実生活を掴むために雑談もある程度必要だと思っています。

雑談からスタートして、患者の価値観に触れておくことで一方通行の服薬指導になることを避けられます。

雑談をすることで「こんなことも薬局で話して良いんだ」という壁を取り除くことができます。そうすることで患者の相談施設となることができます。

自分自身のファンを作るために関係構築が必要

これからは確実に選ばれる薬剤師にならなくてはいけません。時代がどう変遷しようと選ばれる薬剤師になる以外に生き残る術がありません。

全く同じものを扱う薬局業界です。ここが他のお店と異なります。技術はあって当たり前で、「魅惑の一包化スキル」とか「店主こだわりの半錠」とか差別化することはできません。

当たり前ですが、「ヒト」の差が薬局の差になります。

ヒトの差を生むために、多くの薬剤師が「薬学的知識を鍛えて薬学的な差別化」を考えると思います。これが大正解です。しかし、薬学的な知識で最初からベテランに勝とうとするととても難しいことがわかります。

そこで並行して「コミュニケーション」を鍛えて、自分自身を選んでもらう機会を増やすことが重要です。

よく使われる「木戸に立てかけし衣食住」

魔法の言葉の前によくコミュニケーションで使われる「木戸に立てかけし衣食住」はセミナーなどでよく出るので覚えておいても良いかもしれません。

 気候・季節の話
 道楽・趣味の話
 ニュースの話
 旅の話
 天気の話
 家族の話
 健康の話
 仕事の話
 服・アクセサリーの話
 食べ物の話
 住居・住んでいる地域の話

これらをうまく使うことによってコミュニケーションを円滑にすると言われています。逆にタブーとしては「政治」「宗教」「給与」「野球」というのもよく言われます。

基本的には当たり障りのない会話で雑談を進めていきましょうということです。ただし、これだけでは関係構築に時間が掛かります。「木戸に立てかけし衣食住」だけでは、印象に残りづらいという難点があります。

重要な点は「いかに早く、嫌がられず、相手の懐に飛び込むか」です。

薬局薬剤師が使える魔法の言葉

コミュニケーションスキルは言語スキル、非言語スキルなどがあり、さらに細かく研修なども組まれていますが、一度すべて忘れて次の魔法の言葉を試してみてください。

魔法の言葉を公開

「あれ?○○さん、髪型変えました?」

これで以上です。

これだけでコミュニケーションがうまくいきます!

少しだけ解説

理由なんていらないのですが、胡散臭いので少しだけ解説を加えておきます。

まず重要なのは「あれ?」です。急に気付いた感じを出す必要性があります。「あれ?」や「あっ!」を会話に入れることによって、会話の内容が大きく変わったとしても相手は違和感を感じづらくなります。

「あれ?(驚き)」「あっ!(気づき)」を冒頭に挟むことで確実に話を切りだせます。あの有名な齋藤孝も同じことをコミュニケーションのセミナーで話していました。

次に重要な点は「○○さん!」です。しっかりと相手の名前を覚えているということで、「私だけに言っている」という感覚にさせます。

最後に「髪型変えました?」です。髪型を変えていても、変えていなくても、実際には関係ないのです。

ちなみに薬局に来る頻度は、生活習慣病では1ヵ月~3ヵ月に1回くらいではないでしょうか。つまり、前回の来局から1ヵ月程度は経過しています。その間に髪を切っている可能性は比較的高いと思われます。

たとえ髪を切っていなくても関係がありません。「なんか雰囲気が違う感じしますよ。服ですかね。すごく似合ってますよ」でOKです。

「あなたのことをしっかりと覚えています。大切に思っています」と印象を与えることが重要です。

踏み込んで相手を褒めてみる

表面的なコミュニケーションを繰り返すと仲良くなれるわけではありません。惰性の付き合いになるので、表面的なコミュニケーションを繰り返すと逆にホンネを言いづらくなります。

相手を知るために一歩踏み込んで相手のことを聞いてみる必要があるのです。

急に「髪型ステキですね」は危険です。気持ち悪がられる可能性があります。 「あれ?○○さん、髪型変えました?」 はそのちょうど良い距離感(ワンクッション)を模索した結果辿り着いた答えです。「春らしくていいですね」「夏っぽくてステキです」「秋にいい感じですね」「冬の服に合ってますよ」と春夏秋冬で対応できます。

究極のNG行動

絶対にウソをついてはいけません。

私はこの言葉を使う時にウソは1つもありません。私も本当にステキだと思っているから褒めているのであって、ウソをついてまで好かれることはありませんし、何よりもウソは相手にバレます。

魔法の言葉は相手に好かれたいけど、どのきっかけを掴めば良いかわからない、という場合のために考えたものです。

最後に

MR時代に考えたこのきっかけは私の中でコミュニケーションを変えるきっかけになりました。24歳の若造が60歳のベテランを褒めることも自然にできるのです。私は教授や診療部長などにもよくやってました。

男性⇒男性でも違和感なく話すことができます。褒められて嫌な人はあまりいないですよね。

患者との関係、看護師との関係、医師との関係を改善することで対人ストレスを軽減することができます。

若くてまだ患者とのコミュニケーションに迷う方はやってみてください。ベテランは薬学的な知識でファンを作っていきましょう。対人的コミュニケーションが取れてからはガッツリと薬学的コミュニケーションが必要になるので、薬学という爪を研いでおくのを忘れないようにしてください。