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少し未来の薬局 規制緩和で変わること

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もしかすると未来の薬局の働きからは少し変わっているかもしれません。

オンラインの充実などがが現在の薬局の働き方を大きく変える可能性があります。

今回はオンライン服薬指導が自宅(調剤薬局外)からできるようになるとどのような働き方ができるだろうかと考えてみました。

そもそもなぜこのような考えに至ったのか

少し前ですが、 内閣府規制改革推進会議があり資料が公開になっています。(参考資料:内閣府規制改革推進会議 第1回 医療・介護ワーキング・グループ 議事録

こんな議論がありました

Q:薬剤師の働き方改革の観点からも、薬局という場にこだわらず、在宅でのオンライン服薬指導を可能とする必要があるのではないか。

厚生労働省

服薬指導について、薬剤師さんが在宅で服薬指導できるかどうかという御質問だったと思います。恐らく、先生がイメージされているのは、薬は薬局にあって、そこの薬局にお勤めの薬剤師さんが服薬指導だけ在宅から患者さんに向けて行うということではないかなと思っております。

先生方も御承知のとおり、調剤であったり、服薬指導というのは、薬を処方内容に沿ってきちんと調剤して、患者さんにお渡ししつつ、必要なチェックや服薬指導を患者さん向けにしていただくというのが、全部一体であるべきかなと思っております。

その上で、在宅でできるのか、できないかというのは、幾つか論点、課題があって、それをよく議論していって、できる、できないを判断ないし検討していくのかなと思っております。

今、思いつくところとしては、例えば、患者さんの情報をきちんと、まず、在宅から閲覧できたり、あるいは調剤記録とか服薬指導記録をきちんと作成して保存できるか、あるいは、それについてセキュリティをきちんと担保できるか、それから、服薬指導の際に交わされる様々なことに、プライバシー保護できるような在宅の環境かというようなところ、それから、離れているという前提ですけれども、薬局にあるお薬をきちんと別の薬剤師さんになるのでしょうか、調剤してお届けするというようなこととうまく一体的にできるか、また、薬剤師さんが、どこでもその仕事をしていいというよりは、やはり、薬局からきちんと管理できる、薬局にお勤めの薬剤師さんとしてきちんと管理をされながら薬剤師さんの仕事ができる場所をきちんと押さえてのインフラも整備する、そんなところができるかどうかというのが、1つの鍵になってくるのかなと思っております。いずれにしろ、頭から否定もしませんし、できるといろいろなベネフィットがある、一方で、クリアすべき課題もあるかなと、現時点では考えております。

要約すると…

現段階ではダメです。

プライバシー管理、対物業務との連携、書類等の保存という3点がクリアされることがあれば、今後は検討しても良いかもしれません

このような議論が出てくるとは意外な出来事でした

良い意味でも悪い意味でも、薬局の自由度が高まる規制緩和だと思われます。

薬局外から服薬指導ができるようになると大きな変革が生まれます。この規制改革に関してはメリットもデメリットも出てきます。もしかすると理想の働き方ができるかもしれないですし、強者によって全て食い尽くされてしまうかもしれません。

それではどういったことなのか、規制緩和が行われた際の未来の薬局を想像してみましょう。

規制緩和後の薬局業界

明るい未来

せっかくなので明るい未来から想像したいと思います。明るい未来には何が待っているかというと、3つのメリットが想像できます。

どこにいても仕事ができる

薬剤師が調剤薬局にいる場合には、ある地域で住み続けなければなりません。

皆さんは一度は夢を見ませんでしたか?海を眺めながら仕事をしたり、山の中で大自然に囲まれながら仕事をしたり、子どもの面倒を見ながら、コーヒーを飲みながら…というような働き方してみたくなかったですか?

また、今までは旅行中などで対応できないような場合も、対応できるようになるために、半分業務半分休暇のような特殊な働き方も生まれるかもしれません。それによって休暇の取得がしやすくなったりなど、規制緩和によって薬剤師の自由な時間が生まれることが考えられます。

年収のアップが期待できる

これはどうでしょうか。私のイメージでは個々によって間違いなく年収アップが期待できます。

どこにいても患者さんを受け入れる対応ができるようになりますので、完全にファンビジネスに変化します。今までは転勤してしまうと患者との関係が切れてしまっていましたが、この規制緩和によってどこにいても同じ薬剤師が担当できるようになります。

するとどうでしょうか。オンラインで100名の固定患者をフォローしている薬剤師は「プラス100名」という看板を持って転職活動に臨むことができます。今までのオンライン服薬指導では、薬局中心で業務を行わないといけませんでしたが、これから個人を中心として予定を組むことができるので、固定患者を作りやすくなります。

このプラス○○名の看板は経営者からも大きく提示金額に寄与することになるでしょう。

対物業務を完全に切り離せる

大前提として対物業務は対物業務で重要です。それはわかっています。

対物業務がメインとなることでやりたかった服薬指導ができないということはないでしょうか。今回の規制緩和で完全に切り離して対人業務に集中することで、今までは行き届かなかった患者へのサポートも可能になるかもしれません。

また、対物業務に割いていた時間を勉強や提案に充てることできます。それによって薬剤師の得意領域である薬理・薬物動態の点をさらに生かすこともできるかもしれません。

暗い未来

とても暗い未来です。明るい未来だけならよかったのですが、暗い未来もせっかくなので想像しておきましょう。

巨大資本による参入

この規制緩和がプラスに働くことがわかれば、もちろん今まで薬局などやってきていない業種もこの業界に参入してきます。電子通信に強い業界、流通に強い業界などオンライン服薬指導に参入してくるでしょう。巨大資本はCMなどの広告に多額の資金を投入して患者層を取り込みます。

そうなると間違いなくオンライン服薬指導は巨大資本が担い、地域の薬局は今までの処方箋応需として変わらない薬局機能を続けざる得なくなります。オンラインで奪われた分の若年層患者が減ってしまう可能性があり、経営的にマイナスの要因になるでしょう

コールセンター薬剤師

巨大資本の参入によって、大量に流れた処方箋はどのように処理されるのでしょうか。オンライン服薬指導なので対応できるのは薬剤師のみです。薬剤師がコールセンターのようなところで1日に何件も処理しなくてはならないという未来が待っているような気がします。

電話を切ると次の電話が鳴り、また次の電話。どこの誰かもわからない患者の処方履歴と薬歴をチェックして説明。もちろん患者は薬剤師(服薬指導)を求めておらず「早くクスリ欲しいんですけど」の患者層。やりがいなどは少なく、マニュアル通りに応対して、正しく機械を操作して、何人も指導することが求められる。このようなこともありそうではないでしょうか。

もちろんコールセンター薬剤師の給与はそれほど期待できないと思われます。大抵の場合は誰でもできる仕事は一律の給与になることが多いので、平均的なノルマで働いていて大きな給与アップは難しいと思われます。ただし、薬剤師には確認などの責務がありますので、その責務を怠ったときの罰則は変わらずあるでしょう。

先ほどの明るい未来の「年収アップ」に対して、薬剤師の年収の差は多くなる可能性があります。

今から薬局の規制緩和に備えましょう

政権が変わらない限りは「一度でも議論に出る=今後必ずその方向に緩和される」ということが今までの方向性からもわかります。つまり、この規制緩和は数年後に必ず訪れると思われます。

個々の薬剤師でこの規制緩和に備えることが次の一手に大きく寄与します。

薬剤師が今するべきこと

自分自身のファンを作る

先述した通りですが、この先はファンを作っていくのが重要になります。薬局のファンではなく、自分自身のファンを作っていくことが重要です。

現在行われているフォローアップ業務、相談業務など充実させるとともに、薬局のWebページなども個人にも焦点を当てるように変更するなど、「A薬局よりもB薬局」という競争ではなく、「CさんよりもDさん」と個人での実績を大切にしましょう。

複数薬剤が在職している薬局などでも、一度の対応がチャンスとして、継続したフォローアップができるように担当することも重要です。形骸化された「かかりつけ薬剤師」になっていないかを今一度チェックしていきましょう。

私は自分自身と同じ年齢くらいの方(とその子ども)に対しては非常に厚く応対しています。10年後に慢性疾患になったときにネット宅配への移行しやすい年齢層が40歳前後だと感じてします。この層は今から押さえておかなければ、10年後の地域診療に大きな支障をきたしますと考えてこの層を大切にしています。

現在の仕事にプラスして新しい取り組みにチャレンジする

ファンと作ると少し重なる部分ではありますが、選ばれるために薬剤師としての価値を上げていく必要があります。

現職でまだやっていない業務がある場合、提案できる内容に差が出てきて当然です。今現在の仕事で在宅をしていない、オンライン服薬指導を導入していないということは薬剤師の価値に差を生む可能性があります。

※もちろん薬剤師はこの2点で価値が上がるものではありません。薬学という専門的な分野で価値を高めることも可能ではあると思います。

私の薬局は無菌調剤室を導入しましたが、この無菌調剤室は儲かるから造ったわけではありません。薬局としての価値を高め、この会社で働く薬剤師の価値を高めるために導入しました。

今の環境では難しいと感じたら

2022年現在では転職市場が変わりつつあります。正直なところ、転職したい方も転職の予定がない方も転職エージェントとの面談はしておいて損はないと思います。

自分自身の環境(経験)で社会的にはどの程度の評価がされるのか、客観的な指標が必要になります。そのために転職エージェントを用いても良いかもしれません。

オススメの転職エージェントについて詳しく確認したいときには

まとめ

規制緩和に伴う薬局の未来はいかがでしたか?

大きくルールが変わる転換期となってくるでしょう。幸いなことに2022年ではこの規制緩和はありません。しかし、その日が刻一刻と近づいているのは事実です。

この規制緩和をストレスだと感じるかパラダイスだと感じるか、あなたの考え方だけでどちらにも行けると思います。