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小規模薬局社長夫人は得か損か

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タイトルに社長夫人と書きたかっただけです…。私の妻についてです。

もうすぐ私たちの結婚記念日なので、少し家族を考えて経営を振り返りたいと思います。妻は薬剤師ではありません。

今回のテーマは「小規模薬局の社長の妻は本当に幸せなのか」です。まずタイトルの回収からですが、損得で愛情は語れませんよね。実際の数字などで少し検討していきたいと思います。あくまでも妻から視点ではなく社長である私の視点なので、その点はご了承ください。

メリット

『社長夫人』(男性の場合は『社長夫君』というらしいです)という言葉なんとなく響きが良いです。きっとメリットもあるのでしょう。

それではいくつかチェックしていきましょう。

給与水準が高く設定できる

社長と聞くとなんとなくこの点が良いイメージに挙げられると思います。

当然ですが、責任が伴う代表に関しては、従業員より水準が高くなる傾向にあります。

そこで企業における給与の決め方を押さえておきましょう。

企業では前期の利益から当期の役員報酬を決めます。ここが重要です。1番最初に決めるのは従業員の給与ではなく、役員報酬なのです。最初に決めるので、役員報酬を差し引いてから、残りを分配していくイメージになります。分配されるのは、従業員給与、設備投資などになりますので、給与水準や給与の上昇率は役員の方が高くなります。

働くことに対する不満や愚痴が少ない

経営責任をしっかりと果たしていれば社長は好きなことができます。そのために日々の仕事に対して不満は少なくなるでしょう。

家庭の中で愚痴ばかり言われるとイヤですよね。社長は仕事の不満が少ないので、逆に不満を聞いてあげることができます。

新しいことを考えたり、未来について考えることが多いので、過去よりも未来の話が家庭に溢れます。未来について話す方が過去の自慢よりも楽しいですよね。

※もちろんストレスはあるので、その点はご留意ください。

社長自身の生活費が掛からない

絶対に会社の経費を私的に使用してはいけません!

(たまにいますけど、絶対にダメですよ)

社長は社外での付き合いなどなどが経費で精算することが多くあります。情報交換会など「その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等」との飲食に関しては年間で800万円まで交際費として経費計上ができます。

例えば「○○というお店が気になる」と思ったときには、情報交換会の会場をその店にして情報収集しておけばよいのです。そしてお気に入りのお店で夫婦でデートすればよいので、無駄な出費は避けられます。

よくある「会社の飲み会で…」という支出も減ります。会社の飲み会は全社員参加と仮定すると、福利厚生費での計上になるので、「会社の飲み会があるから1万円お小遣い頂戴」なんてこともありません。また、社長になるとなぜか他の社長が奢ってくれることも多くあります。基本的に身銭を切ることが減ってきます。

仕事で使用するものは基本的に経費計上できるので、パソコン等の機器なども自費での購入はほとんどありません。

デメリット

メリットだけではなくデメリットももちろんあります。私自身が考えるデメリットなので、妻は全く別のデメリットを感じているかもしれません。

安定するまでの社会的信用が低い

よく言われることですが、一般的に会社員に比べると、社会的信用は低い傾向にあります。上場会社員>小規模法人代表>個人事業主と言われたことがあります。

具体的には「クレジットカードの作りづらさ」や「住宅ローンの組みづらさ」などが挙げられます。会社員と比べ収入が不安定になるために、各種審査に通りづらいことがあります。クレジットカードを作ったりローンを組んだりする予定がある人は、できるだけ会社員のうちに審査を済ませたほうが良いかもしれません。

結婚を控えている方は相手方の親への挨拶の際にも「大丈夫なのか?」と聞かれるかもしれません。

ホンネかウソかわかりませんが、銀行の方からは薬剤師という資格があるので、他の小売りからすると信用は担保されますと言われました。これは慰めのために言ってくれただけかもしれません。

収入が安定しない

給与水準が高いと先述しましたが、逆も考えられます。事業が安定しないと収入も下がってしまいます。

会社代表の働き方や考え方がそのまま収入に反映します。つまり、会社代表である配偶者(夫・妻)と話をしていて、働いていない・考えが甘いと思ったら指摘しなければ、会社も家族も共倒れになります。

第三者の目線で観察しておくことも重要です。

代表取締役や代表理事などの代表者には経営判断の裁量権が認められていますから,単に経営に失敗して会社に損失を出してしまったというだけでは、忠実義務・善管注意義務違反などの責任を負うことにはなりません。

少なくとも中小企業・小規模事業の破産においては、法令に違反する行為をしていたり,会社財産を私的に使い込んでしまっていたり、または、明らかに無謀な投資などを行った結果会社に損害が生じたというような特殊な事情がない限りは、代表者責任が問われるという事態になることはあまりないでしょう。

雇用保険・労災保険に加入できない

いずれも社長は入れません。

例えば過労で倒れたとしても自己責任です。労災認定などもないために公的なセーフティネットがありません。そのために会社などで同一の個人型保険に加入していることが多くあります。こういった点に関しても注意が必要になります。

もし、社長の妻(夫)がその会社で働いている場合にも加入することはできません。

年収が上がると控除が受けられなくなる

これは収入が安定している場合です。

納税者本人の所得が1,000万円を超えると配偶者控除、配偶者特別控除が受けられません。納税の喜びを強く感じることができます。

(参考サイト:国税庁・配偶者控除 国税庁・配偶者特別控除

ふるさと納税や確定拠出年金などを活用するようにすると良いでしょう。

※収入が上がるとふるさと納税も上限が高くなるので、サイトを見ていてもとても楽しくなります。

実労働時間が長い

会社が必要としている全労働力-従業員の労働時間×従業員数=社長の労働時間になります。

会社が回るために必要な労働力を週400時間とすると40時間×5人の従業員で回すと200時間働く必要があります。従業員を増やすことで自身の働く時間を調整できますが、従業員の休退職や仕事量の増加などによって、従業員がカバーできない部分を社長自らが補填する形で働かなければなりません。

もちろん役員報酬は決定済みなので、働いても働かなくても報酬は一定です。

私の場合:2021年の実績

開局日が296日 私の時間内休暇は半休2回のみ

出勤日数296日、実労働時間295日となります。人を増やさないとダメですね。

結論

メリット、デメリットを簡単ではありますが記述してみました。

私の場合は妻からは働きすぎているとよく言われています。そのために子育てや家事への参画は他の父親よりは薄いのかもしれません。一方で楽しそうに働いているので、その点は不安を持たせずに働けているのではないかと感じています。

すべてのことを踏まえたうえで、女性の皆さま・男性の皆さまは、カレシ・カノジョから「会社を辞めて薬局独立する」と言われた際に将来をどう考えていくのか検討してみてください。

なぜこの記事を書いたのか

ここからは自分語りです。どんな人間がこの記事を書いたのか気になる方は読んでください。

もう結婚から6年になります。MRとして働いましたが、突如として会社を辞めて独立しました。

未経験者が面調剤での独立という無謀なチャレンジだったので、ほとんど収入はありませんでしたがカノジョ(妻)は応援してくれました。

カノジョも働き、一緒に住み、月に昼食代として2万円もらうという生活を送っていました。私は色々あってほぼ無一文だったので、昼食を一切食べずに2万円を10カ月間貯めて20万の婚約指輪を購入してプロポーズしました。

その当時も今も妻には感謝ですね。