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その独立はちょっと危ないかもしれない

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記事の背景

独立賛成派の私ですが、ここ最近で受けた相談の中で「危険」と思うことがありました。その相手が成功するかどうかはやってみないとわかりませんが、リスクを最低限にするために考えておいた方が良いこと、事前に行っておいた方が良いことについて記事にしました。

MR時代の友人などから、最近「独立したい」と相談されることが多く、その中で話を聞いていると”少し”危ないかもしれないという事例が出てきます。私自身は薬剤師の独立には賛成です。さらに2021年現在で独立をすることで、黒字に転換させる方法が揃っています。なぜそう考えているかについても紹介していきます。

”少し”危ない事例

良い案件を探している

とても多くの方が当てはまります。逆に言えば独立しない理由もこれがないからでしょう。しかし、初めての独立で「良い案件」を見抜くことができるでしょうか、また「良い案件」がなぜあなたのところに回ってくるのでしょうか。「良い案件」は基本的にありません。

良い案件を探すにはもっと早くから動かないといけない

例えば将来安泰な優秀なDrが開業するとします。紹介会社を経由しない限りは、このDrから直接声が掛かる以外に優秀なDrと巡り合うことはありません。そこまでの繋がりを今から数年で持てそうでしょうか。現在はMRでも40代半ばの医師と接点を得るのが非常に難しいです。このくらいの年齢の医師は医局内でも実務の主力となり、とても忙しいのです。この方々との接点をゼロから作るというのは非常に困難になります。

(余談ですが、一部機械関係の会社は開業の案件に強いことがあります。そこから紹介を受けることもあるとは聞いていますが、数ある企業から選ばれるために高いハードルであることは間違いありません)

儲けを得るにはどうすればよいのか

独立は「案件」で儲かる仕組みを作るパターンと、「創意工夫」で儲かる仕組みを作るかのどちらかになります。前者は比較的誰がやっても成功する独立です。私のイメージだと20年前くらいに卸から独立している社長がいるのはこのパターンだと思います。後者は独自性やビジョンが必要な独立です。個人的には薬剤師であれば「創意工夫」で乗り切れると考えています。

例えば譲渡薬局を探して開業するのであれば、契約金が数千万するような大型案件ではなく、1日処方箋枚数15枚くらいの小規模薬局で数百万の契約金の方が割安だと思っています。現在の調剤報酬制度から考えると、個の患者からいくら技術料が取れるかというポイントに重きが置かれていると思っています(1人1人に対して手厚く調剤薬局がサポートするイメージです)。そのための制度が整い始めています。つまり、現状で患者をたくさん回して高収入を得ている薬局よりも、1人に時間を掛けられる環境がある小規模薬局の方が安定する可能性があります。これが創意工夫で儲けを出す秘訣だと思います。

現在の支出額が大きい

これも比較的多くて、みんなに同様のアドバイスをしています。調剤薬局の薬剤師も、MRも同世代からすると高収入だと思います。30代で600万~1000万円もらっている職種も少ないです。そうなると生活の質を下げられないという人が多くいます。

運転資金は蓄えがあるから大丈夫

多くの方が運転資金としてある程度の額を貯めて開局します。しかし、支出が多いとその資金も流れてしまいます。開局から3年間は利益を得ることが難しいと思って臨んだ方が良いでしょう。3年分を蓄えるというのはかなり難しいので、まず支出を減らすことで運転資金を流出させない練習が必要です。

これは少し先の話ですが、ある程度軌道に乗ると、2店舗目や3店舗目となったときに5000万円くらい融資を受けることがあります。そのときに支出癖を無くしておかないとお金の使い方が粗くなります。お金に強くなるためにもこの機会に支出癖を改善しておきましょう。

おまけ

ちなみに私自身は会社以外で全くお金を使いません。支出を切り詰めた結果、お小遣いをもらうのも止めてしまいました。ありがたいことに他社様からご馳走になることも多く、会社関連だと経費になるのでここでもお金を使いません。そのために3年間の黒字化まで気長にやってこれたのだと思います。

具体的なビジョンがない

これは多くはありませんが、具体的なビジョンが見えてこない人がいます。軸がブレる可能性があるので、具体的な方法が見えてきません。最初にビジョンを立てておくことで協力者も増えるので、これは明確にしておいた方が良いと思います。

私の場合

私であれば面調剤で独立して、薬局のメインコンセプトは「気のいいお兄さんが相談に乗ってくれる薬局」、地域イメージは「交流会などを起点となる薬局」、具体的な成功ラインは「30枚/日の処方箋、在宅を8人/月、75歳まで在籍できる薬局」というようになんとなくでもコンセプトなり、目標がありました。

なぜ2021年現在の独立はオススメなのか

儲けのしくみを2024年までに作ることができる

現在の調剤報酬では点数を算定するために必要な要件として、実務経験年や所属期間などが必要な場合にあります。2024年はさらにこの流れが顕著になる可能性があるので、早めに開業をしておくことでその足切り年数ラインをクリアすることができます。また、創意工夫のない薬局が儲からなくなってきて、閉局を考える薬局も増えてきています。つまり譲渡される薬局も値下がりが期待できます。

初年度に儲からないからできることもある

「集患を考えることができる」

儲かっていると患者集めの重要性を忘れてしまいます。どうすればリピーターになるのか、どういった層がターゲットなのか明確にする思考方法が身に付いて、継続的な習慣が可能になります。

「1人当たりに時間を費やすことができる」

今の調剤報酬制度は能動的にできることが増えています。忙しいと手が回らないようなことも、1人に対して時間を取れるので、報告書からの提案や減薬相談などすることができます。その結果として点数が上がり、さらに患者の満足度も上げることができるようになります。これが創意工夫です。

この2021年はプラスが多い

現在はコロナで人の動きが変わってきています。外に出ていく人の動きが地域で止まってしまうということが多くなっています。それにより地域に対して活動を行う薬局であれば挽回の余地があります。

また、薬局業界が全体的に落ち込んでいることもプラスに働きます。例えば全体的に100万円売り上げがある中で自分の薬局だけが5万円しか売り上げがないと、100万円の売り上げがあるところの方がサービスを重視することができますが、現在はその全体平均が下がってきているので、新規サービスなど取り入れる企業が少なく、自身の薬局とサービスでの差を付けられにくいというメリットがあります。

早く独立をして、2024年改訂の際に最大限の火力を出せるように今から活動するのが良いと思います。