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薬局医薬品の取扱いについて

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(平成26年3月18日:薬食発0318第4号)

「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律」(平成25年法律第103号。以下「改正法」という。)については、「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」(平成26年政令第24号)により、医薬品の販売業等に関する規制の見直しについては、平成26年6月12日から施行することとされました。

また、「薬事法施行令の一部を改正する政令」(平成26年政令第25号。以下「改正政令」という。)及び「薬事法施行規則等の一部を改正する省令」(平成26年厚生労働省令第8号。以下「改正省令」という。)がそれぞれ平成26年2月5日及び平成26年2月10日に公布され、改正法の施行の日から施行することとされました。

改正法による改正後の薬事法(昭和35年法律第145号。以下「新法」という。)第36条の3第2項においては、薬局医薬品について、薬局医薬品を使用しようとする者以外の者に対して、正当な理由なく、販売・授与してはならない旨の規定が新設され、この「正当な理由」の認められる場合については、「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律等の施行等について」(平成26年3月10日付け薬食発0310第1号厚生労働省医薬食品局長通知)第2の5の(1)において、追ってその内容を通知することとしていたところです。

今般、改正法等の施行に伴い、この「正当な理由」が認められる場合の取扱いを含め、薬局医薬品の取扱いについて下記のとおり定め、改正法等の施行の日(平成26年6月12日)から適用することとしましたので、御了知の上、貴管内関係団体、関係機関等に周知徹底を図るとともに、その実施に遺漏なきよう、お願いいたします。

なお、「処方せん医薬品等の取扱いについて」(平成17年3月30日付け薬食発第0330016号)は、同日をもって廃止いたします。

第1 処方箋に基づく販売

1.処方箋医薬品について

(1) 原則

薬局医薬品のうち、処方箋医薬品については、薬剤師、薬局開設者、医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者、医師、歯科医師若しくは獣医師又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者(以下「薬剤師等」という。)が業務の用に供する目的で当該処方箋医薬品を購入し、又は譲り受けようとする場合に販売(授与を含む。以下同じ。)する場合を除き、新法第49条第1項の規定に基づき、医師等からの処方箋の交付を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく、販売を行ってはならない。

なお、正当な理由なく、医師等からの処方箋の交付を受けた者以外の者に対して処方箋医薬品を販売した場合については、罰則が設けられている。

(2) 正当な理由について

新法第49条第1項に規定する正当な理由とは、次に掲げる場合によるものであり、この場合においては、医師等の処方箋なしに販売を行っても差し支えない。

① 大規模災害時等において、医師等の受診が困難な場合、又は医師等からの処方箋の交付が困難な場合に、患者(現に患者の看護に当たっている者を含む。)に対し、必要な処方箋医薬品を販売する場合

② 地方自治体の実施する医薬品の備蓄のために、地方自治体に対し、備蓄に係る処方箋医薬品を販売する場合

③ 市町村が実施する予防接種のために、市町村に対し、予防接種に係る処方箋医薬品を販売する場合

④ 助産師が行う臨時応急の手当等のために、助産所の開設者に対し、臨時応急の手当等に必要な処方箋医薬品を販売する場合

⑤ 救急救命士が行う救急救命処置のために、救命救急士が配置されている消防署等の設置者に対し、救急救命処置に必要な処方箋医薬品を販売する場合

⑥ 船員法施行規則第53条第1項の規定に基づき、船舶に医薬品を備え付けるために、船長の発給する証明書をもって、同項に規定する処方箋医薬品を船舶所有者に販売する場合

⑦ 医学、歯学、薬学、看護学等の教育・研究のために、教育・研究機関に対し、当該機関の行う教育・研究に必要な処方箋医薬品を販売する場合

⑧ 在外公館の職員等の治療のために、在外公館の医師等の診断に基づき、当該職員等(現に職員等の看護に当たっている者を含む。)に対し、必要な処方箋医薬品を販売する場合

⑨ 臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)第12条第1項に規定する業として行う臓器のあっせんのために、同項の許可を受けた者に対し、業として行う臓器のあっせんに必要な処方箋医薬品を販売する場合

⑩ 新法その他の法令に基づく試験検査のために、試験検査機関に対し、当該試験検査に必要な処方箋医薬品を販売する場合

⑪ 医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の原材料とするために、これらの製造業者に対し、必要な処方箋医薬品を販売する場合

⑫ 動物に使用するために、獣医療を受ける動物の飼育者に対し、獣医師が交付した指示書に基づき処方箋医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)を販売する場合

⑬ その他①から⑫に準じる場合

なお、①の場合にあっては、可能な限り医師等による薬局等への販売指示に基づき、④、⑤及び⑧の場合にあっては、医師等による書面での薬局等への販売指示をあらかじめ受けておくなどする必要がある。このうち、④及び⑤については、販売ごとの指示は必要ではなく、包括的な指示で差し支えない(第2の2.において同じ。)。

また、⑥に規定する船長の発給する証明書については、昭和41年5月13日付け薬発296号「船員法施行規則の一部改正及びこれに伴う船舶備付け要指示医薬品の取扱いについて」の別紙様式に準じて取り扱われたい(第2の2.において同じ。)。

2.処方箋医薬品以外の医療用医薬品について

薬局医薬品のうち、処方箋医薬品以外の医療用医薬品(薬局製造販売医薬品以外の薬局医薬品をいう。以下同じ。)についても、処方箋医薬品と同様に、医療用医薬品として医師、薬剤師等によって使用されることを目的として供給されるものである。

このため、処方箋医薬品以外の医療用医薬品についても、効能・効果、用法・用量、使用上の注意等が医師、薬剤師などの専門家が判断・理解できる記載となっているなど医療において用いられることを前提としており、1.(2)に掲げる場合を除き、薬局においては、処方箋に基づく薬剤の交付が原則である。

なお、1.(2)に掲げる場合以外の場合であって、一般用医薬品の販売による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合などにおいては、必要な受診勧奨を行った上で、第3の事項を遵守するほか、販売された処方箋医薬品以外の医療用医薬品と医療機関において処方された薬剤等との相互作用・重複投薬を防止するため、患者の薬歴管理を実施するよう努めなければならない。

第2 使用者本人への販売

1.原則

薬局医薬品については、薬剤師等が業務の用に供する目的で当該薬局医薬品を購入し、又は譲り受けようとする場合に販売する場合を除き、新法第36条の3第2項の規定に基づき、薬局医薬品を使用しようとする者以外の者に対して、正当な理由なく、販売を行ってはならない。

なお、薬局製造販売医薬品については、改正政令による改正後の薬事法施行令(昭和36年政令第11号)第74条の2第2項の規定により、新法第36条の3第2項は適用されない。

2.正当な理由について

新法第36条の3第2項に規定する正当な理由とは、次に掲げる場合によるものであり、この場合においては、薬局医薬品を使用しようとする者以外の者に対して販売を行っても差し支えない。

(1) 大規模災害時等において、本人が薬局又は店舗を訪れることができない場合であって、医師等の受診が困難又は医師等からの処方箋の交付が困難な場合に、現に患者の看護に当たっている者に対し、必要な薬局医薬品を販売する場合

(2) 地方自治体の実施する医薬品の備蓄のために、地方自治体に対し、備蓄に係る薬局医薬品を販売する場合

(3) 市町村が実施する予防接種のために、市町村に対し、予防接種に係る薬局医薬品を販売する場合

(4) 助産師が行う臨時応急の手当等のために、助産所の開設者に対し、臨時応急の手当等に必要な薬局医薬品を販売する場合

(5) 救急救命士が行う救急救命処置のために、救命救急士が配置されている消防署等の設置者に対し、救急救命処置に必要な薬局医薬品を販売する場合

(6) 船員法施行規則第53条第1項の規定に基づき、船舶に医薬品を備え付けるために、船長の発給する証明書をもって、同項に規定する薬局医薬品を船舶所有者に販売する場合

(7) 医学、歯学、薬学、看護学等の教育・研究のために、教育・研究機関に対し、当該機関の行う教育・研究に必要な薬局医薬品を販売する場合

(8) 在外公館の職員等の治療のために、在外公館の医師等の診断に基づき、現に職員等の看護に当たっている者に対し、必要な薬局医薬品を販売する場合

(9) 臓器の移植に関する法律第12条第1項に規定する業として行う臓器のあっせんのために、同項の許可を受けた者に対し、業として行う臓器のあっせんに必要な薬局医薬品を販売する場合

(10) 新法その他の法令に基づく試験検査のために、試験検査機関に対し、当該試験検査に必要な薬局医薬品を販売する場合

(11) 医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の原材料とするために、これらの製造業者に対し、必要な薬局医薬品を販売する場合

(12) 動物に使用するために、獣医療を受ける動物の飼育者に対し、獣医師が交付した指示書に基づき薬局医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)を販売する場合

(13) その他(1)から(12)に準じる場合

第3 留意事項

1.販売数量の限定

医療用医薬品を処方箋の交付を受けている者以外の者に販売する場合には、その適正な使用のため、改正省令による改正後の薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「新施行規則」という。)第158条の7の規定により、当該医療用医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者及び当該医療用医薬品を使用しようとする者の他の薬局開設者からの当該医療用医薬品の購入又は譲受けの状況を確認した上で、販売を行わざるを得ない必要最小限の数量に限って販売しなければならない。

2.販売記録の作成

薬局医薬品を販売した場合は、新施行規則第14条第2項の規定により、品名、数量、販売の日時等を書面に記載し、2年間保存しなければならない。

また、同条第5項の規定により、当該薬局医薬品を購入し、又は譲り受けた者の連絡先を書面に記載し、これを保存するよう努めなければならない。

3.調剤室での保管・分割

医療用医薬品については、薬局においては、原則として、医師等の処方箋に基づく調剤に用いられるものであり、通常、処方箋に基づく調剤に用いられるものとして、調剤室又は備蓄倉庫において保管しなければならない。

また、処方箋の交付を受けている者以外の者への販売に当たっては、薬剤師自らにより、調剤室において必要最小限の数量を分割した上で、販売しなければならない。

4.その他

(1) 広告の禁止

患者のみの判断に基づく選択がないよう、引き続き、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を含めた全ての医療用医薬品について、一般人を対象とする広告は行ってはならない。

(2) 服薬指導の実施

処方箋医薬品以外の医療用医薬品についても、消費者が与えられた情報に基づき最終的にその使用を判断する一般用医薬品とは異なり、処方箋医薬品と同様に医療において用いられることを前提としたものであるので、販売に当たっては、これを十分に考慮した服薬指導を行わなければならない。

(3) 添付文書の添付等

医療用医薬品を処方箋に基づかずに3.により分割して販売を行う場合は、分割販売に当たることから、販売に当たっては、外箱の写しなど新法第50条に規定する事項を記載した文書及び同法第52条に規定する添付文書又はその写しの添付を行うなどしなければならない。