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黒字に向けてどのように考えるか 21コマ計算

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この記事でわかること

21コマ計算と言われて何をいっているかわからない方も多いと思います。面調剤を経営するうえで大切な考え方になりますので、この計算方法を基にどういった手段を使用していくか、どういった目標設定ができるのかを考えてみると良いでしょう。

前提

面調剤の基本ターゲットは「生活習慣病患者」です。急性期の風邪などは経営的な波にはなりますがメインのターゲットではありません。新患を獲得するうえで重要なのは、如何にして生活習慣病患者を効率的に切り替えていくかという点になります。

生活習慣病患者の特徴

毎月の来局が想定できる

50代以上の層になるために比較的後発品への切り替えも行いやすい

3剤以上になることが多く、内服での調剤料が効率的に見込める

この前提を基にして21コマ計算を考えていきましょう。

この21コマ計算を理解すると下記の問題が解けるようになります。この問題は課題解決に重要な考え方で、現在の施策が正しい方向に打てているか振り返りになります。逆にこの考えを抜いて「黒字化」と言っている方はラッキーパンチか経営の天才かのどちらかです。

それでは少し考えてみましょう。

実際に目標設定を考えてみよう:例題

【問題①】あなたの薬局は半年後に技術料が30万円プラスになれば単月で黒字です。何人必要でしょうか?(スタートは1月、半年後は6月)

【問題②】あなたの薬局は半期に技術料が100万円プラスになれば半期決算で黒字です。何人必要でしょうか?(スタートは1月、半期決算は6月)

問題①の解説

【問題①】あなたの薬局は半年後に技術料が30万円プラスになれば単月で黒字です。何人必要でしょうか?

これを考えるうえで重要なのは何人ずつ新患を獲得すれば良いかという点です。

ここでモデル患者を規定してみましょう。

(背景は私の薬局になりますので、調剤基本料などは調剤基本料1、地域支援体制加算、後発品体制加算3を算定しています)

モデル患者

58歳男性 糖尿病、高血圧、脂質異常症 内科通院

調剤基本料1(42点)、地域支援体制加算(38点)、後発医薬品調剤加算3(28点)、内服薬30日分(77点)、内服薬30日分(77点)、内服薬30日分(77点)

→技術料339点

1人当たりの技術料が3390円で、最終的に30万円分を技術料で埋めればよいので、89名の新規患者が半年後に必要になります。そう、答えは89名!

というのが答えではないのです。ここまでであれば算数です。今回は面調剤の経営というところに落とし込まなければなりませんので、最終的に89名を獲得するためには何人ずつを月の目標にすれば良いかということについて少し話を進めて考えてください。

イメージの図は下記の丸を見ながら考えてきましょう。

今回のモデルは生活習慣病患者です。毎月来院・来局することが前提となっています。

つまり、5月に新患佐藤さんが来局し、6月に新患鈴木さん、7月に新患高橋さんと新規患者を獲得すれば、5月は佐藤さんで1人、6月は佐藤さんと鈴木さんで2人、7月は佐藤さんと鈴木さんと高橋さんで3人となっていく「雪だるま式」の計算を考えないといけないのです。

つまり、89名の新患を6月時点で急に獲得することは難しいかもしれないですが、これを1月ごとの新患目標まで落とし込んでいくことができます。今回では89名を6分割して15名を毎月の新患目標としていけば良いでしょう。(15名の新患目標はかなり高いと思いますが・・・例ですからね)

実は今回の【問題①】は赤字が続いている場合(もしくは新規立ち上げ時)に1月でも黒字化することができればという最初の目標設定です。【問題②】は半期での黒字が見え始めた(開局から少し軌道に乗ってきた)薬局を想定して目標設定する異なる環境を背景にしています。実は①と②は基本的な考え方が異なりますので注意が必要です。

問題②の解説

【問題②】あなたの薬局は半期に技術料が100万円プラスになれば半期決算で黒字です。何人必要でしょうか?

モデル患者は同様に下記でやってみます。

モデル患者

58歳男性 糖尿病、高血圧、脂質異常症 内科通院

調剤基本料1(42点)、地域支援体制加算(38点)、後発医薬品調剤加算3(28点)、内服薬30日分(77点)、内服薬30日分(77点)、内服薬30日分(77点)

→技術料339点

技術料を100万円プラスにすればよいので、新患が何人必要かを計算すると100万円÷3390→295名

そこで毎月の考え方にもう一度立ち返ります。下の図の丸のところに295名を同様に振り分けていけば良いので半期では21個の丸に振り分けられると思います。つまり295名を21で分ければ良いので1つの丸には14名になります(295÷21→14.0)。

つまり半年後に100万円の技術料を上げるには毎月14名の新規患者を目標とする必要があります。この会社は生活習慣病患者さんを毎月14名の新患獲得を目標としていけば良いということがわかりました。

ご理解いただけましたでしょうか?

どうでしょうか?目標の設定ができそうでしょうか、または目標を既に立てている経営者さんは自身の目標が高いのか低いのか妥当なのか調べることができたでしょうか。今回は技術料だけにフォーカスしています。さらに加点や加算などは排除したシンプルな目標になっています。加算だけの目標でもこの形式を用いることでシンプルに数的な管理を行うことができます。振り返りも行いやすく、モチベーション設定にもなるので各店舗の数的目標を立ててみてください。

初めて目標設定をする場合は技術料だけで実績を追う方がシンプルでわかりやすくなります。逃げ場が少ないので実際の行動との相関なども経営の振り返るを行う上で良いでしょう。単純化すること、その目標を視覚化すること、数字で振り返ることの3つを私の薬局でも各管理薬剤師に伝えています。ちなみにこのやり方だと基本的には生活習慣病ですが、少し応用すると小児用や整形用など短期間の増減が出やすい急性期にも対応することができます。その場合は定義を少し変える必要があるので、慣れてきたら作成してみて目標設定してみてください。

実際には、この方法と連動する形でフィッシュボーンの作成も行って、数的な目標+行動管理をしていきます。フィッシュボーンの作成に関しては別途記事にします。

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