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独立も投資と考えて運営する

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この記事の背景

薬局の独立にいくらを注ぎ込むかは人それぞれですが、1000万くらいは最低でも資金投入が必要になると思われます。投資にはリスクヘッジが必要になります。どのようにリスクに対応していくかも考えて独立することで長期的な運営にも心配がいりません。

投資に関して少し考えてみる

投資とは何か?

最近は株式投資などがとても流行しているように思われます。特定の指数に連動するように株式などを組み合わせて構成された商品に投資するインデックス投資、個々の銘柄の成長や資産を読み取り魅力のある企業に投資する個別株投資などがあります。私自身は株式投資にはあまり詳しくないので、この程度しか記述しませんが、どの投資に関しても、資金を投入してその資金を成長させて利益化することには変わりないと思います。起業するにしても拡大するにしても、事業に資金を投入して成長させて利益を得るという点は薬局の開局も同じようなものだと思います。

投資の際に考えなければならないことは?

投資するということは一時的でも現金を別の形にして増やすということなので、株式投資の場合には株券に、薬局の開局であれば薬局(建物)や薬に形を変えます。そのために貯蓄と比較すると流動性が低くすぐに現金化するわけではないことが多いです。貯蓄であればすぐに使う頃ができているのですが、投資に関してはすぐに使うということはできません。そのため自己資金をすべて投資するのではなく、生活費などに関しては必ず残しておく必要があります。また投資である以上はある一定のリスクが伴います。リスクに耐えられないような方は薬局独立をしたいと思っても避けるべきです。

投資や独立にはリスクは付き物です。しかし、そのリスクを避ける、もしくはリスクを減らすことで運営の際に不安が少なくなります。

長期的な視点で、健康的に継続した経営を行うために、自身でコントロールできないストレスを軽減することが重要になります。

投資のリスクを減らすポイントは?

金融商品の場合

まずは金融商品で考えてみましょう。とは言っても私はあまり詳しくないので一般論です。

1つの金融商品に多くの資金を投入すると、その商品が大きく値を下げたとき、同じく自分の資産も大きく値下がりします。こういった投資のリスクを減らす方法のひとつに「分散投資」が良く知られています。複数の投資先に資金を分けることで、資産全体でリスクを軽減する方法です。

分散する対象は主に3つと考えられています。

1点目が「資産の分散」。例えば、株式と債券は一般的に異なる値動きをするので、それぞれの価格変動リスクをカバーするのに役立ちます。

2点目が「地域の分散」。複数の地域や通貨を組み合わせることで、投資の対象になっているモノが存在している国やその通貨、地域の状況などによる値動きのリスクを軽減することができます。

3点目が「時間の分散」。株式などの市場は常に動いており、時には急騰や暴落により大きく値動きすることがありますが、投資のタイミングを複数回に分けることで、その影響を和らげることができます。

薬局の独立の場合

次に薬局の独立の場合について考えていきます。

中長期的な投資である以上は「分散投資」が有効であると思われます。そこで「資産の分散」「地域の分散」「時間の分散」をそれぞれ考えてみましょう。

お金をどのように利益の源泉に分配するのかという点での議論になるために、利用者である患者層を分散させていくかという点がポイントになると思われます。その患者は医師(病院やクリニック)に紐づいているので、結論としては病院やクリニックを分散させる必要があると思われます。

薬局の場合には「施設の分散」「診療科の分散」「年齢層の分散」として考えてみましょう。

どのようにリスクを減らしていくか

「施設の分散」「診療科の分散」「年齢層の分散」とは何か具体的に考えていきましょう。

施設の分散

施設と記載しましたが、患者のいる場所(処方せんの流れ)の分散です。外来、在宅、施設調剤の割合を考えて組み立てることが重要だと思います。

現在は在宅に向けての点数が比較的高くなっている傾向にありましたが、今後はどの方向に舵が切られるかわかりません。「あー、その分野やっていないから今年から加算分が取れないよ」では後手後手になりますし、加算分が取れないと調剤報酬改定はトータルでマイナス改定にしかなりません。

最近の経営の悪化の話などを聞くと、調剤報酬のプラス改定の恩恵を受けていない薬局経営者の方も多くいると思います。 「あー、その分野やっていないから今年から加算分が取れないよ」 は今後の薬局経営に大きく響いてくることが理解できると思います。

予め各方面で対応できるようにしておくことが重要です。2021年10月の段階では、この分散に関しては外来●割、在宅●割、施設調剤●割、オンライン●割という4項目で目標など描いておくと良いと思います。

診療科の分散

近いクリニックから100%処方箋をもらうということは、どんなに今現在で外来数が多かったとしてもその医師が働けなくなったら共倒れしてしまいます。そのために診療科(対応する医師数)を増やしておく必要があります。1人の医師がやむを得ず休診になった場合も、薬局の収入がゼロになることはなく運営継続することができます。また、診療科を分散させることで、花粉症やインフルエンザなどの季節商品の増減をなくすことができるので、年間を通した利益予想を出しやすくなります。

※「今年は花粉症が流行してほしい」「インフルエンザが増えてほしい」というような医療人あるまじき発想にも至らなくなるので、精神衛生上もより良くなることが期待できます。

年齢層の分散

長期投資になるので、継続して患者が途切れないように分散させておくことも重要です。私の場合には小児処方箋を大切にしています。小児処方箋(6歳未満)を持ってくる患者さんの親は30~40歳くらいが多くなります。生活習慣病患者は50歳以上が多くなるために、このくらいの患者さん(親)に10年先の種まきをするチャンスになると考えて、幼稚園に健康情報を配布したり、子ども薬局体験会に開催をしたり、小児服薬相談会を実施したり、イベントを定期的に行っています。

高齢者ばかりを対象にしていると、徐々に亡くなったりなどで衰退していきます。その街の人口動態にもよりますが、高齢者を大切にしつつ、若い層を取り込んでいくような活動が重要になります。来局者の年齢解析を行って、極端に高齢者が多い場合は20年後の種まきが不足している可能性があるので、若い世代へのアプローチも取り入れるようにしていくと良いでしょう。

この点も年齢別の集計などを行うことで検証することができます。今後の種まきのための活動ができているかもチェックしておくと良いでしょう。

分散困難な門前調剤はダメなのか?

私は4薬局を運営して、100%面分業が2店舗、開業医とのマンツーマンが1店舗、複数診療科ビル診療(小規模医療モール型)が1店舗なので、「面分業が絶対正解!」という立場ではありません

しかし、多くの診療所門前薬局は100%をその医師に資金投入している可能性があります。医師がケガをしたら、病気になったら、急に閉院してしまったら、人気クリニックにならなかったら…と考えると赤の他人に100%投資をするのはリスクが高い選択なのではないかと思っています。利益があるうちに分散してリスクに備えることが必要になると思われます。

この分散の考え方からすると大手チェーンの出店方法は分散として理にかなったやり方です。どこかの医師が倒れて1店舗が潰れたとしても、他の店舗でカバーできるという構造になっておりリスクが集中していません。門前処方でありながらも、店舗数を利用してリスクに備える形をとっています。ただし調剤報酬改定に伴うリスクに対しては備えることができないので、この点だけにおいて弱いシステムだと思っています。

私の場合は企業自体での分散も計画して店舗を増やしました。マンツーマン、医療モール、面分業となっていて、どこかの薬局の調剤報酬改定などで保険点数が下がっても、他の店舗で加算などを狙うことで1店舗のマイナスを補える環境を整えようと考えています。小規模薬局として最大限の分散を行っているつもりです。

最後に:私が独立する前に考えたこと

私が独立する前に考えていたことは「70歳を超えても居場所が残っていること」ということが1つ念頭にありました。30歳という年齢で独立する際には医師の開業が45~50歳となるために40年という目標は難しくなります。ここで医師とは無関係に継続するための50年プランを考えることになりました。

そして、行き着いた考えが面分業だったのです。

皆さまは薬局のリスクヘッジをどうお考えでしょうか?皆さまの考えも聞ければと思っていますので、教えて頂ける方はTwitterからコメント頂ければ幸いです。