独立への1st STEP

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この記事は少しでも独立を考えている人に読んでほしい最初の一歩です。私自身は今はある程度生活も安定していますが、独立前のステップに関しては完全に誤りました。皆さんには同じようなミスを起こしてほしくないと思っています。順序を誤るだけで生活の困窮があり、失敗のリスクも高まります。

この章の目的は独立への第一段階として、独立を思い立ってから会社を辞めるまでにやらなければならないことを理解してもらうために作成しています

独立に向けての具体的な手順を理解しよう

独立して薬局を立ち上げようと考えたときに、まず何からしなければならないか考えてみましょう。短絡的に考える人では【退社→会社設立→薬局開業】となりますが、実際にはそうではありません。独立を思い立ってすぐに会社を辞めてしまうのは非常に危険です。

具体的な手順を確認を行って、どのタイミングで辞めないといけないかギリギリのところを考えましょう。

ゼロから薬局を設立する場合

テナントを決める→内装打ち合わせ→調剤機械などの打ち合わせ→内装工事→電気関係手続→搬入→保健所申請→立入検査→厚生局申請→薬剤納入→オープン

※オープンまでの間にスタッフなど人員の募集

M&Aなどで事業継承を行う場合

譲渡契約(機器類などの確認)→時期確定→医師への根回し→保健所申請→立入検査→厚生局申請→薬剤納入→オープン

※オープンまでに既存スタッフへの面談や人員の募集

今の仕事を辞めてはいけない

絶対に何も決まっていないまま辞めてはいけません。しっかりとした事前準備が成功のカギです。まったくの新規事業で開業する場合には、不動産を探すだけで3ヵ月~半年、内装の打ち合わせに1ヵ月、テナントの内装工事に1ヵ月、そこから保健所と厚生局などの申請に移行します。

私自身の経営する薬局も具体的にテナントが決まってから、最短でも4ヵ月掛かってオープンする形になっているので、収益の発生までに最短で6ヵ月掛かることになります(保険調剤での収入が遅れるため)。

M&Aを行って事業を始めた店舗は相談時期が3ヵ月程度、契約後にはすぐに譲渡になり、既存店としての機能を閉じることなく営業を行うことができたので、収益の発生までには2ヵ月となりました。

全くの新規でテナントから作る場合には生活防衛資金を半年程度は持っておく必要があります。M&Aで事業継承の場合には紹介手数料なども掛かりますが、概ね2ヵ月くらいで食べられるようにはなると思います。ギリギリで辞めたとしてもこの程度の生活防衛資金が掛かるので、打ち合わせや契約などは今の仕事を行いながらやるようにしましょう。

どんな薬局にしたいのかイメージを固めよう

いつか独立したいと思っている方であればこれだけはしっかりとやっておきましょう。この作業に関しては今の仕事をしながらも十分に行うことができます。独立後にやりたいのは、どんな診療科をメインターゲットにしたいですか、何歳くらいをメインターゲットとして考えますか、在宅などはどうしますか、コンセプトや理念などはどういったものを掲げますか、というように考えることはいろいろとあります。

ちなみに私の場合、会社を設立する前にイメージとして固めていたのは、

薬局のコンセプト→「気のいいお兄さんが話を聞いてくれる薬局」

年齢層→「高齢者をメインターゲットとしつつ、新興住宅地に流入する子どもをサブターゲットにする。そのために内科、小児科を中心として固めたい」

在宅→「今後の課題となるので住宅地内での在宅患者は取っていきたい」

これが一番最初のイメージです。抽象的な言葉「気のいいお兄さん」という謎ワードでコンセプトを組んでいました。ここから落とし込みながら薬局のイメージを作り上げていきます。私の場合はMindMeisterというマインドマップを用いてコンセプトを作っています。

これは店舗を増やしたときも同様で、私のマインドマップを管理薬剤師に渡して、そのマインドマップをもとに追加してもらいながら店舗のコンセプトをすり合わせています。

それではこのイメージが何に生かせるのかという点についてですが、

「気のいいお兄さんが話を聞いてくれる」→座りの情報提供設備にして、イスもゆったりとしたものにしよう→落ち着いた話しやすい雰囲気からイメージカラーは緑にして統一感を持たせよう→若い兄さんというイメージを薬局で持たせたいので、他の従業員も若い年齢層を採用しよう

「高齢者、小児がメインターゲット」→民生委員のところに行って高齢者の相談など受けるようにしよう、小児も増えるように幼稚園とか保育園に営業してみよう→高齢者をターゲットにした相談会、パパママを対象とした相談会をそれぞれ開いてみよう→近くの小児科にも挨拶まわっておこう、地域包括も交えて勉強会など提案してみよう

少し落とし込むだけですぐに何ができそうかが広がります。あとはイメージに沿った形で行動するだけになります。何ができるかを考えると難しいことも、コンセプトに近づけることを考えるとスムーズになります。

ここまでは頭の中でやることなので、できる限り妄想を拡げるようにしてください。コンセプトから妄想を拡げると、薬局の壁紙や備品、インテリアなども「こういう感じ」が見えてきます。

自己資金をチェックしよう

自己資金ゼロでの開業は絶対にできません。なぜかというとできないものはできないのです。自己資金ゼロの人に対して銀行がお金を貸してくれるわけがないのです。そのために奨学金など返済義務の生じている方に関しては、もしかするとその返済からしてしまった方が良いかもしれません。

都内や大都市圏などの地価の高いところは別として、地方中枢都市くらいであれば1500万~2000万で開業できています。ゼロからのスタートでもM&Aでも同様の結果でした。

そこで自己資金がいくら必要かについてですが、銀行で借りられる金額次第です。しかし、個人的な考えとしては500万~1000万はあった方が良いと思います。また必ず生活防衛資金は用意しておいてください。共働きであれば別の会社で働くようにして独立後も安定するまでは働いてもらってください。子どもがいる場合には学費などは確保しなければなりません。誰一人として不幸になる独立は行わないようにしてください。安定すれば格段に生活は楽になります。そこまでの辛抱です。

4000万などの案件もありますが、余程の自信がない限りはオススメできません。事業は基本的にスモールスタートが良いと思っています。高額な案件に手を出す場合はこの記載内容と大幅にずれるので注意してください。

借入先に相談してみましょう

初めての独立です。あなたにお金を貸してくれるのは誰でしょうか。「もちろん銀行です」と答えた方は融資の相談に行ってみましょう。断られる可能性が高いと思います。たぶん。

私の個人の印象ですが、銀行はお金のないところには貸してくれません。お金があるところにお金を貸してくれる組織です。事業が軌道に乗った今になると、あの頃はそっぽを向いていた銀行の営業が「借りませんか?」と、何かと理由を付けて電話をしてきます。

相談先を順を追ってやっていけば大丈夫です。どこか見つかりますので安心して手数を覚えておきましょう。

1.大手銀行→話してももらえません

2.地銀(地方大手)→今働いているところの社長などコネがないか確認してください

3.地銀(新興勢力)→手あたり次第で構いませんので、相談してみてください

4.日本政策金融公庫→審査があるので、他の相談を行いながら並行して行いましょう

5.信用金庫→よく話を聞いてくれるパートナーとなってくれます。断られたらショック

6.親→最後は身内に相談しましょう。

こんなことを言うと厳しいと思われますが、親に借りられないような事業は、誰も貸してくれるわけがないのです。事業計画そのものに問題がある可能性がありますし、もしかすると事業をなんとしても成功させたいという熱量が足りないのかもしれません。

借入金額と返済についてザックリと計算してみよう

借入を1500万でお願いするとしましょう。借りたものは必ず返さないといけないので、返済6年で計算を行ってみると月に22万程度の返済を行うイメージになります。

融資を受ける際には返済予定表が出るのでそこでキチンと確認しておきましょう。

最低でも返済金額以上の売上は出さないといけないので、そこに向けての営業努力が必要になります。

卸、機械メーカーに相談しておこう

独立前に会社に所属しているうちに卸や機械関係の担当者に相談してみることもオススメします。後継者問題などで後任を探している薬局の相談が入っていたり、土地やテナントの情報を教えてもらったり、Drの情報や医療圏の情報を教えてもらったりすることができます。

卸とコネクションを作っておくと、取引までがスムーズに行えることもメリットになります。

機械メーカーとコネクションを作っておくと、内装業者の紹介もしてくれることがあり手間が省けます。

M&Aの業者も多々あり信頼感はあるのですが、卸や機械メーカーからの紹介などもまだまだ捨てたものではないという印象があります。スピード感があるという点と費用面でのメリットが得られます。意外と「薬局売るみたいですよ」や「買い手探していますよ」という情報は定期的に入ってくるので、検討しても良いかもしれません。

不動産について検討してみよう

良い物件はすぐに売れてしまいます。テナントも良いテナントはすぐに取られてしまいます。独立したいと思った段階から定期的に不動産のサイトを覗いてみたり、不動産屋さんに通ってみてください。薬局は立地も重要なファクターになることは事実です。

まずは相場を知ること、その次にどのくらいのサイクルで空きがでるのか知ることも重要です。

ちなみに薬局の構造設備には広さ(19.8m²)以上が必要にもなります。都道府県によっても基準となる構造が変わるケースがあるので事前にチェックを行っておくようにしてください。

ちなみにさいたま市の薬局構造設備基準はコチラ、葛飾区はコチラ、他の県や市によっては厚生省令をそのまま見てくださいというところもあるので「○○市 薬局構造設備基準」で検索を行うと各自治体の基準が出てくるので必ずチェックしておきましょう。その物件が適合しそうか確認を行ってから契約するようにしましょう。

以上を踏まえたうえで、良い不動産に契約を行って、その後に退社を決めるようにしてください。

退社して、会社設立を行おう

設立までの事前作業に関しては今までと並行して行っても構わないと思います。

自身で会社設立を行うこともできますが、薬局の設立に関して上記のことを行いながら、さらに現在の仕事も続けて行うとなると時間がタイトになります。また慣れない仕事をやって、それが他の契約などの際に障害となってはいけないと思いますので、私の場合にはすべて外部に一任してしましました。

司法書士に相談を行って手続きを行ってもらうことをオススメします。

もしろんインターネットで調べながら、全ての作業を行うことはできると思いますので、好きな方はやってみてください。私はあまり好きな作業ではありませんでしたので、これから先も同様のことが発生したときには外部に委託すると思います。