特定薬剤管理指導加算のときに薬歴に何を書いてよいのかわかりません。
薬歴に何を書いてよいのかではなく、何を指導すれば良いかわからないということだね。テオフィリン製剤は副作用の出やすい患者背景から分類を行って指導を行うようにするとわかりやすいよ。
実際に何を書けば良いのかを考える
薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン(第2版)にはこう書いてあります。
- 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
- 服用患者のアドヒアランスの確認
- 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育(悪心、嘔吐、けいれん、頻脈等の過量服用に伴う副作用症状について説明とモニタリング)
- 効果の確認(適正な用量、可能な場合の検査値のモニター)
- 一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及び食事との相互作用の確認(喫煙、カフェイン摂取等の嗜好歴)
- 小児、特に乳幼児では、副作用防止のため発熱時の対応について指導
テオフィリン製剤の背景別の指導のポイント
全背景ともに共通のチェック事項
副作用と確認事項
中毒症状
テオフィリン血中濃度が高値になると、血中濃度の上昇に伴い、消化器症状(特に悪心、嘔吐)や精神神経症状(頭痛、不眠、不安、興奮、痙攣、せん妄、意識障害、昏睡等)、心・血管症状(頻脈、心室頻拍、心房細動、血圧低下等)、低カリウム血症その他の電解質異常、呼吸促進、横紋筋融解症等の中毒症状が発現しやすくなります。
なお、軽微な症状から順次発現することなしに重篤な症状が発現することがあります。
テオフィリン血中濃度に影響のある背景
小児や乳幼児
副作用と確認事項
用量に注意して投与
テオフィリン1回投与量の目安(通常用法は1日2回投与)
6カ月未満:原則投与しない
6ヵ月~1歳未満:3㎎/㎏
1歳~15歳:4~5㎎/㎏
2歳以上の重症持続型の患児を除いて、他剤で効果不十分な場合などに、患児の状態(発熱、痙攣等)を十分に観察して適用を検討して投与する
2歳未満の熱性痙攣やてんかんなどの痙攣性疾患のある患児には原則として推奨されない
テオフィリン製剤は重症児(者)の喘息の約3割に使用され、使用頻度の高い薬剤であるが、中枢神経障害の合併、痙攣の誘発、抗痙攣薬などの薬剤との相互作用などの問題があり、安全性の面から慎重に投与する必要がある。
テオフィリン製剤は、吸入薬の投与が難しい重症児(者)にあっては、気管支拡張作用と弱いながらも抗炎症作用を併せ持つ経口薬として用いやすいが、痙攣誘発など中枢神経系、悪心、食欲低下などの消化器系への副作用を起こす可能性があり、これらに十分注意しながら投与する。薬物血中濃度のモニタリングは必須である。特にテオフィリンのクリアランスに影響を与える抗痙攣薬との相互作用に留意する。
患者の生活背景(嗜好品等の注意喚起)
副作用と確認事項
タバコ
確認事項:喫煙だけでなく、禁煙をしているかもチェック。喫煙により肝薬物代謝酵素が誘導され、テオフィリンクリアランスが上昇し、テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる。また、禁煙により血中濃度が上昇すると考えられる。
指導事項:禁煙(禁煙補助剤であるニコチン製剤使用時を含む)によりテオフィリンの中毒症状があらわれることがある。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど必要があります。
セイヨウオトギリソウ
確認事項:セイヨウオトギリソウにより誘導された肝薬物代謝酵素が本剤の代謝を促進し、クリアランスを上昇させるために服用の有無を確認
指導事項:血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないようにしてください。
カフェイン
確認事項:併用により中枢神経刺激作用が増強されるのでカフェイン含有の飲料、一般用医薬品の服薬がないかチェック
指導事項:過度の中枢神経刺激作用があらわれることがあるので、副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど必要があります。
まとめ
テオフィリンの特定薬剤管理指導加算を算定する際には下記のポイントで指導を行うと良いと思います。
テオフィリンの特定薬剤管理指導加算は過量投与になって、重篤な副作用が起きていないかのチェックと指導がポイントです。
- 過量投与の際の初期症状の確認、初期症状が起きたときの中止指示
- 多剤併用患者には他の薬剤との相互作用のチェック
- 小児乳幼児における適正な使用が行えているか
- 嗜好品やOTCとのつながりをチェック
これらをチェックして薬歴に記載してください。