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不思議な薬 レバミピド

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この記事の背景

服用薬剤調整支援料1を算定するための練習

レバミピドの効能効果・用法用量を正しく覚えていますか?

皆さんは正しくレバミピドを投薬していますか?レバミピドの処方箋に出会ったことがない方はたぶんいないのではいかと思います。それでは下記で確認してください。

効能効果・用法用量

<胃潰瘍・下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善>

通常、成人には1 回1 錠(レバミピドとして100mg)を1 日3 回、朝、夕及び就寝前に経口投与する。

<急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期>

成人には1 回1 錠(レバミピドとして100mg)を1 日3 回経口投与する。

この場合はどういう病名を薬歴に記載していますか?

病名はあくまでも医師が決定するものなので、薬剤師は推測となりますが、このような処方箋は見たことがありませんか?

処方例

継続して3カ月以上継続している処方例として考えてください。

ランソプラゾール15㎎ 1日1回 朝食後 1錠

レバミピド100㎎ 1日3回 毎食後 3錠

ランソプラゾール以外でもPPIとの併用に関しては同じことが言えると思います。

なぜこの処方箋に疑問を感じるのか

ランソプラゾールの効能効果

<胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger-Ellison症候群>

通常、成人にはランソプラゾールとして1回30mgを1日1回経口投与する。なお、通常、胃潰瘍、吻合部潰瘍では8週間まで、十二指腸潰瘍では6週間までの投与とする。

<逆流性食道炎>

通常、成人にはランソプラゾールとして1回30mgを1日1回経口投与する。なお、通常8週間までの投与とする。
さらに、再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、1回15mgを1日1回経口投与するが、効果不十分の場合は、1日1回30mgを経口投与することができる。

<非びらん性胃食道逆流症(OD錠15のみ)>

通常、成人にはランソプラゾールとして1回15mgを1日1回経口投与する。なお、通常4週間までの投与とする。

<低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制(OD錠15のみ)>

通常、成人にはランソプラゾールとして1回15mgを1日1回経口投与する。

<非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制(OD錠15のみ)>

通常、成人にはランソプラゾールとして1回15mgを1日1回経口投与する。

<ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助>

通常、成人にはランソプラゾールとして1回30mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。
なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1回400mg(力価)1日2回を上限とする。プロトンポンプインヒビター、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合は、これに代わる治療として、通常、成人にはランソプラゾールとして1回30mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びメトロニダゾールとして1回250mgの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。

逆流性食道炎なのか胃潰瘍なのか、はたまたその両方なのか

ランソプラゾールは胃潰瘍であれば8週となるが、それを超えて処方が出ている。胃潰瘍であればレバミピドは朝夕寝る前になっていなければならないが、毎食後になっている。

再発・再燃逆流性食道炎であれば、ランソプラゾールは継続投与が可能であるが、レバミピドは適応症がないので誤りになる。

もしくはランソプラゾールとレバミピドは別々の適応症として処方されているのかもしれない。

2剤の併用は効果が期待できる組み合わせなのか

消化性潰瘍診療ガイドライン2015では下記のように記載があります。

CQ 3-2 胃潰瘍に対する非除菌治療(初期治療)において,酸分泌抑制薬と防御因子増強薬の併用療法は有効か?
● PPI と防御因子増強薬の併用によって潰瘍治癒の上乗せ効果は得られないため,PPI の単独投与を行うよう提案する.

胃潰瘍であれば、推奨されていないことが確認できます。

CQ 3-4 十二指腸潰瘍に対する非除菌治療(初期治療)において,酸分泌抑制薬と防御因子増強薬の併用療法は有効か?
● PPI と防御因子増強薬の併用によって潰瘍治癒の上乗せ効果は得られないため,PPI の単独投与を行うよう提案する.

十二指腸潰瘍であっても、推奨されていないことが確認できます。

これらのことからどうしているか

つまり、このレバミピドは不必要な可能性がある薬剤だと思われます。仮に薬剤数が多くなくても1日3回も服薬するのは大変なので、医師に減薬の提案を行っています。

減薬提案までのステップ

外堀を埋める

患者さんと相談して減薬のメリットを共有してください。

患者さんから減薬したいという意思が引き出せればOKです。

具体的な症状の確認

胃酸症状が悪化しているのであれば減薬よりも薬剤変更などを提案する方が良いかもしれません。

急性増悪などがあると減薬の対象にならないので注意しましょう

処方提案

文例をもとにFAXや面談等で提案してみましょう。

文例

○○さんから多剤服用に関して、ご相談があり報告いたします。

【対象薬剤】

・レバミピド錠100㎎の休薬(中止)

【理由】

・消化性潰瘍ガイドライン内に引用されているエビデンスにおいて、胃潰瘍・十二指腸潰瘍ともにPPIの服用患者に対して、レバミピドの上乗せ効果が得られなかったため

・レバミピドは服薬回数が3回となり、服薬の負担軽減のため

・現在、胃の痛みや逆流性食道炎などの症状が落ち着いているため

可能であれば次回の受診の際に状況を確認頂きまして、減薬のご検討をお願い致します。

まとめ

服用薬剤調整支援料1を算定するための練習に私が行っていることを記事にしました。実際に減薬になっている方もいますし、提案自体は無理のあるものではないと思っています。

何よりこれをスタートとしている理由は「命に直結しない」「レバミピドにこだわりが少ない」という2点があります。これらを受け入れてくれる医師に対して、もう少し難しい処方提案や減薬提案を行えるようにステップアップを考えています。

PPIとレバミピドが併用されている方がいればアプローチしてみてください。

不思議な薬

レバミピドを不思議な薬と表現したのはある1つの理由があります。

私は新規個別指導1回、個別指導3回、私が開設者として参加した新規個別指導と様々な個別指導に参加しましたが、レバミピドだけ1回も返還対象になっていないのです。絶対に処方されているレバミピドなのですが、朝昼夕の処方になっていても「就寝前が正しいでしょ!」などと注意を受けていません。

どんなに細かいところでも添付文書通りでなければ疑義紹介などで確認するように言われてきたのですが、レバミピドだけはノータッチなのです。「保険調剤の理解のために」という集団指導で配布される冊子にもレバミピドのことは書いていません。不思議です。