保険の勉強

薬剤服用歴管理指導料

薬歴?書いてますよ。どこかで大変だったようなあんなことやこんなこと(未記載)にはなっていません。忘れず書けばOKですよね?

チャンピオン

忘れず書くのは基本だね。でも実は薬歴を書く時にはルールがあるんだよ。ちなみに個別指導で私の次の薬局は薬歴の記載不備で200万近く返還してたから、特に手書きの薬歴は次の項目をちゃんとチェックしておくべきだよ。電子薬歴も油断してはいけない。「どこ」に「何を」書けばよいのかチェックしておこう。

下に参考をコピーしておきますが、「結局何を書けばいいの?」を重点的に書いておくようにします。ちゃんとしたことを理解したい方はこれにすべて書いてあるので読んでみてください。

参考図書

基本はこの図書になります。私もここからかみ砕いて、さらに個別指導の内容を追記して書いています。


薬剤服用歴管理指導料の概要

1 原則3月以内に再度処方箋を持参した患者、かつお薬手帳を持参している患者に対して行った場合 43点

2 1の患者以外の患者に対して行った場合 57点

3 特別養護老人ホームに入所している患者に訪問して行った場合 43点

4 情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合 43点

それでは何を書けばよいのか

大原則

薬歴の構成は2つからなっています。

頭書(表紙)と指導内容

頭書(表紙)の構成

薬歴の頭書の構成は決まっていて、これは全て必須項目となっています。

ちなみに電子薬歴を用いているところで患者基本情報などの名目になっていてここに記載していくものが多いかと思います。

1.氏名・生年月日・性別・住所・電話番号(緊急連絡先)

「電話番号が抜けている」は個別指導で指摘を受けました

2.アレルギー歴・副作用歴・体質

未記入欄は認められません(ない場合はなしと記載)

3.薬学的管理に必要な患者の生活像

例えば1日2回しかご飯を食べないとか、夜勤があるとか、大工とか消防士とかも書いてました

4.後発医薬品の使用に関する患者の意向

ジェネリックOK、NGなどNGであればその理由とジェネリックについて説明を行ったことも記載しておく

5.疾患に関する情報(既往歴・合併症・他科受診において加療中の疾患に関するもの)

自身の薬局以外の情報も入っているかのチェック、手術歴なども記載しておく

6.併用薬(要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品及び健康食品を含む)等の状況

各薬剤について一覧にしておく

7.妊娠、授乳婦のチェック

予定日など記載

8.喫煙、アルコールなどの確認

量なども記載、禁煙・禁酒状況も記載

9.服用薬と相互作用が認められる飲食物の摂取状況

ワーファリン患者や代謝酵素など関係している場合

10.服薬状況(残薬の状況を含む。)

残薬がある、幼児の場合には飲めない剤型なども記載

11.患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)

過去の副作用情報も記載

12.手帳活用の有無

手帳がいらない場合にはその理由と手帳に関する情報提供日を記載しておく

13.一包化している場合にはその理由

一包化加算の算定のために必要

14.粉砕している場合にはその理由

嚥下困難などの状況を記載

15.過去の疑義紹介状況の記載

倍量処方や、添付文書と異なる用法についての疑義紹介、漫然投与の際の疑義紹介などを理由と確認した日付を記入

以上を個別指導で全部聞かれました。何がどこに書いてあるのかも薬局内で統一するように指導されました。特記事項や備考欄などを上手に活用しましょう。

そして・・・これらを定期的に(その都度に)更新されていないといけません。指導では最低でも6ヶ月くらいで見直すように指摘されました。

どこに何を書くのかを統一しておきましょう

過去に行ったこと、聴取できた内容は全て記載しましょう

頭書→指導内容→頭書更新の順番で書くようにしましょう

200万円の返還の薬局は紙薬歴だったのですが、ここが不十分だったらしいです。手書き薬歴の場合には特に注意が必要そうですね。機械化最高!

指導内容の構成

指導内容は具体的な患者への指導を記載する部分です。

SOAP形式で記載している薬局が増えているようです。

SOAPの書き方は別途記事にするとして、最低限書く内容をチェックしましょう。

1.患者からの情報

これもどこに書くのかを薬局内で決めておきましょう。SOAP形式の場合ではSに記載することが多いと思います

2.指導した内容

これもどこに書くのかを決めておきましょう。SOAP形式ではAかPに記載している薬局が多いと思います

3.9項目をチェック(他科受診、併用薬、合併症(既往歴)、飲食物、服薬コンプライアンス、体調変化、副作用の発現、後発品の意向、残薬確認)

まずは9項目チェックしたうえで細かい内容を指導事項に記入しましょう。個別指導の際にこの9項目のチェックを落としていると残薬調整や重複投薬の加算を指摘されます。残薬があるなら服薬コンプライアンス悪の項目と残薬ありの項目に、重複投薬があるなら他科受診や合併症ありにチェックしておきましょう

4.9項目の詳しい聴取点を指導内容に記載

9項目の変化があるところは指導内容の記載を行う。残薬は何が、なぜ余ってしまうのか。コンプライアンスはなぜ飲めていないのか、合併症、飲食物は何かを具体的に記述。副作用や体調変化も何が原因と考えられるのかまでを記述。

5.指導内容は薬に関するものを中心に行う

生活習慣の是正などだけを継続していると個別指導の際に指摘されます。薬剤師は薬の指導をすべて終えて、患者が理解したうえで生活指導など行うようにということでした。

6.同じ内容の繰り返しはNG

同じ内容が連続していると「継続的な(つながりのある)服薬指導」を行っていないのではないかと個別指導の際に指摘されます。

7.継続したつながりのある指導を記述する

前回からの流れを踏まえたうえでの指導を行っていることがわかるように記載しましょう。

8.内容は具体的に記載する

個別指導で指摘されたのは「副作用チェック→なし」「○○の副作用について指導した」など何をどう説明したかわからないところでした。次の薬歴を見る人が同じ内容かどうか判断できないからダメだということです。指導後は【○○の副作用(△△)の指導として××などの生活をしないように指導】など記載を改めたら次回の個別指導ではこの記載で問題なしと言われました

9.「重篤副作用疾患別対応マニュアル」を参考にする

上記マニュアルに従った指導になっているかもチェックしておく

10.「抗微生物薬適正使用の手引き」を参考にする

抗生物質が出ている場合は上記を参考にして服薬指導を行う

11.高齢者のマニュアルもチェックしておく

高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))」「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン

12.手帳を忘れた(使わない)人にはその対応を記載

手帳については、患者に対して、手帳を活用することの意義、役割及び利用方法等について十分な説明を行い、患者の理解を得た上で提供することとし、患者の意向等を確認した上で手帳を用いないこととした場合にあっては、その理由を薬剤服用歴の記録に記載しなければいけない

思いつくままに12項目記載しました。もしかすると他の指摘事項が見つかるかもしれないのでその時は追記しようと思います。

自由に書いてよいと思われている薬歴ですが、書かないといけないことが山のように多いので、自由度は比較的低いと思われます。

チャンピオン

薬歴の書き方の本や記事はたくさん読んだんだけど、いざ個別指導を受けると【本当に患者の情報を書いている薬歴】と【厚生局が求める薬歴】に多少なり誤差を感じてしまうのです。