保険の勉強 PR

特定薬剤管理指導加算1

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

特定薬剤管理指導加算1ってなんでしょうか?

チャンピオン

薬剤服用歴管理指導料加算に分類される項目だね。この項目に分類されるということは「薬歴に記載する必要がある」ということをイメージしておくと良いよ

算定のポイント

特定薬剤管理指導加算1の点数は

特に安全管理が必要な医薬品として別に厚生労働大臣が定めるものを調剤した場合であって、当該医薬品の服用に関し、その服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行ったときには、特定薬剤管理指導加算1として、10点を所定点数に加算する。

対象となる薬剤の確認

  1. 抗悪性腫瘍剤
  2. 免疫抑制剤
  3. 不整脈用剤
  4. 抗てんかん剤
  5. 血液凝固阻止剤(内服薬に限る。)
  6. ジギタリス製剤
  7. テオフィリン製剤
  8. カリウム製剤(注射薬に限る。)
  9. 精神神経用剤
  10. 糖尿病用剤
  11. 膵臓ホルモン剤
  12. 抗HIV薬

薬効分類からハイリスクの対象か否かを判断するのはNGです!

理由は以下の通りです。疑義解釈資料から引用↓↓


「特に安全管理が必要な医薬品」の範囲については、以下の考え方でよいか。

①「抗悪性腫瘍剤」には、薬効分類上の「腫瘍用薬」が該当するほか、それ以外の薬効分類に属する医薬品であって悪性腫瘍に対する効能を有するものについて、当該目的で処方された場合が含まれる。

②「不整脈用剤」には、薬効分類上の「不整脈用剤」が該当するほか、それ以外の薬効分類に属する医薬品であって不整脈に対する効能を有するものについて、当該目的で処方された場合が含まれる。

③「抗てんかん剤」には、薬効分類上の「抗てんかん剤」が該当するほか、それ以外の薬効分類に属する医薬品であっててんかんに対する効能を有するものについて、当該目的で処方された場合が含まれる。

→薬効分類上で可否を判断するのではなく、処方目的から判断すること

これまで薬効分類上「腫瘍用薬」、「不整脈用剤」及び「抗てんかん剤」以外の薬効分類に属する医薬品であって、悪性腫瘍、不整脈及びてんかんに対応する効能を有するものについて、当該目的で処方された場合は「特に安全管理が必要な医薬品」に含まれるとされてきたが、この取扱いに変更はないか。また、薬局では得ることが困難な診療上の情報の収集については必ずしも必要としないとあるが、前述に該当する場合、当該目的で処方された場合か否かの確認をする必要はあるか。

処方内容等から「特に安全管理が必要な医薬品」に該当するか否かが不明である場合には、これまで通り、当該目的で処方されたものであるかの情報収集及び確認を行った上で、当該加算の算定可否を判断する必要がある。

→処方目的を明確にしてから算定を行うこと、ハイリスクの項目以外の目的であれば算定を行ってはいけない

特定薬剤管理指導加算1の対象となる「免疫抑制剤」の範囲については、以下の考え方でよいか。

① 薬効分類245「副腎ホルモン剤」に属する副腎皮質ステロイドの内服薬、注射薬及び外用薬は含まれるが、副腎皮質ステロイドの外用薬のうち、その他の薬効分類(131「眼科用剤」、132「耳鼻科用剤」、225「気管支拡張剤」、264「鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤」等)に属するものについては含まれない。

② 関節リウマチの治療に用いられる薬剤のうち、メトトレキサート、ミゾリビン、レフルノミド、インフリキシマブ(遺伝子組換え)、エタネルセプト(遺伝子組換え)、アダリムマブ(遺伝子組換え)及びトシリズマブ(遺伝子組換え)は含まれるが、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、D-ペニシラミン、サラゾスルファピリジン、ブシラミン、ロベンザリット二ナトリウム及びアクタリットは含まれない。

③ 移植における拒絶反応の抑制等に用いられるバシリキシマブ(遺伝子組換え)、ムロモナブ-CD3、アザチオプリン、エベロリムス、塩酸グスペリムス、タクロリムス水和物、シクロスポリン及びミコフェノール酸モフェチルは含まれる。

→同じ薬効分類であったとしても免疫抑制が目的なのか否かで加算の対象かが変わるので各薬剤の作用を理解して、目的と加算が合致しているかを判断していくこと

特定薬剤管理指導加算1の対象となる「血液凝固阻止剤」には、血液凝固阻止目的で長期間服用するアスピリンは含まれるが、イコサペント酸エチル、塩酸サルポグレラート、ベラプロストナトリウム、リマプロストアルファデクス及び解熱・鎮痛を目的として投与されるアスピリンは含まれないと考えてよいか。

特定薬剤管理指導加算1の対象となる「精神神経用剤」には、薬効分類112「催眠鎮静剤、抗不安剤」に属する医薬品及び薬効分類116「抗パーキンソン剤」に属する医薬品は含まれないと考えてよいか。

特定薬剤管理指導加算1の対象となる「抗HIV薬」には、薬効分類625「抗ウイルス剤」に属する医薬品のうち、HIV感染症、HIV-1感染症、後天性免疫不全症候群(エイズ)等の効能・効果を有するものが該当すると考えてよいか。

いずれもその通り

→対象となる疾患、目的で処方されているかを明確にすることが必要になります。目的と効能効果をチェックして算定を行いましょう。

何をすれば加算が取れるのか

まずは薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン(第2版)ハイリスク薬の薬学的管理指導において特に注意すべき事項(日本薬剤師会)をよく読んでおきましょう。

薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン(第2版)は特定薬剤管理道加算を算定のマニュアルではないので、あくまでこのガイドラインを基本とし、個別指導にも耐えうるものにしていく必要があります。

抗悪性腫瘍剤

  1. 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量、投与期間、休薬期間等)の確認
  2. 服用患者のアドヒアランスの確認(化学療法に対する不安への対応、外来化学療法実施の際に受けた指導内容や提供された情報の確認)
  3. 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育
  4. 効果の確認(適正な用量、可能な場合の検査値のモニター)
  5. 一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及び食事との相互作用の確認
  6. 患者に最適な疼痛緩和のための情報収集、処方提案と患者への説明、麻薬の使用確認
  7. 支持療法の処方・使用の確認あるいは必要に応じた支持療法の提案等

免疫抑制剤

  1. 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量、投与期間、休薬期間等)の確認
  2. 服用患者のアドヒアランスの確認(感染症の発症や悪化防止のための注意事項の患者への説明)
  3. 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育(感染症の発症等)
  4. 効果の確認(適正な用量、可能な場合の検査値のモニター)
  5. 一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及びグレープフルーツジュース等の飲食物や食事との相互作用の確認

不整脈用剤

  1. 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
  2. 服用患者のアドヒアランスの確認
  3. 副作用モニタリング(ふらつき、動悸、低血糖等の症状)及び重篤な副作用(催不整脈等)発生時の対処方法の教育
  4. 効果の確認(最近の発作状況を聞き取り、適正な用量、可能な場合の検査値のモニター)
  5. 一般用医薬品やサプリメント等を含め、QT延長を起こしやすい薬剤等、併用薬及び食事との相互作用の確認

抗てんかん剤

  1. 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
  2. 服用患者のアドヒアランスの確認
  3. 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育
  4. 効果の確認(最近の発作状況を聞き取り、適正な用量、可能な場合の検査値のモニター)
  5. 一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及び食事との相互作用の確認

血液凝固阻止剤(内服薬に限る。)

  1. 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
  2. 服用患者のアドヒアランスの確認、服薬管理の徹底(検査・手術前・抜歯時の服薬休止、検査・手術後・抜歯後の服薬再開の確認)
  3. 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育(服用中は出血傾向となるので、過量投与の兆候(あざ、歯茎からの出血等)の確認とその対策)
  4. 効果の確認(適正な用量、可能な場合の検査値のモニター)
  5. 一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及び食事(納豆等)との相互作用の確認
  6. 日常生活(閉経前の女性に対する生理中の生活指導等)での注意点の指導

ジギタリス製剤

  1. 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
  2. 服用患者のアドヒアランスの確認
  3. 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育(特にジギタリス中毒症状(食欲不振、悪心・嘔吐、めまい、頭痛、不整脈)の発現の確認とその対策)
  4. 効果の確認(適正な用量、可能な場合の検査値のモニター)
  5. 一般用医薬品やサプリメント等を含め、K排泄型利尿薬やCa含有製剤、β遮断薬等、併用薬及び食事との相互作用の確認

テオフィリン製剤

  1. 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
  2. 服用患者のアドヒアランスの確認
  3. 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育(悪心、嘔吐、けいれん、頻脈等の過量服用に伴う副作用症状について説明とモニタリング)
  4. 効果の確認(適正な用量、可能な場合の検査値のモニター)
  5. 一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及び食事との相互作用の確認(喫煙、カフェイン摂取等の嗜好歴)
  6. 小児、特に乳幼児では、副作用防止のため発熱時の対応について指導

カリウム製剤(注射薬に限る。)

※在宅などで使用されるケースはあっても通常の外来処方でないことから算定することはないと思われる。居宅療養管理指導、在宅患者訪問薬剤管理指導料と特定薬剤管理指導加算の併算定はできないため。

精神神経用剤

  1. 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
  2. 服薬に対する意識が低い患者及び患者家族への教育とアドヒアランスの向上
  3. 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育
    • 原疾患の症状と類似した副作用(錐体外路症状、パーキンソン症候群等)
    • 致死的副作用(悪性症候群、セロトニン症候群等)
    • 非定型抗精神病薬による、血液疾患、内分泌疾患等
    • 転倒に関する注意喚起
  4. 薬物の依存傾向を示す患者等に対して、治療開始時における適正な薬物療法に関する情報を提供
  5. 一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及び食事との相互作用の確認
  6. 自殺企図等による過量服薬の危険性のある患者の把握と服薬管理の徹底

糖尿病用剤

  1. 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
  2. 服用患者のアドヒアランスの確認(Sick Day 時の対処法についての指導)
  3. 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育(低血糖及び低血糖状態出現時の自覚症状とその対処法の指導)
  4. 効果の確認(適正な用量、可能な場合の検査値(HbA1c や血糖値)のモニター)
  5. 一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及び食事との相互作用の確認
  6. 注射手技の確認(薬剤の保管方法、空打ちの意義、投与部位等)、注射針の取り扱い方法についての指導

膵臓ホルモン剤

  1. 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
  2. 服用患者のアドヒアランスの確認(Sick Day 時の対処法についての指導)
  3. 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育(低血糖及び低血糖状態出現時の自覚症状とその対処法の指導)
  4. 効果の確認(適正な用量、可能な場合の検査値(HbA1c や血糖値)のモニター)
  5. 一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及び食事との相互作用の確認
  6. 注射手技の確認(薬剤の保管方法、空打ちの意義、投与部位等)、注射針の取り扱い方法についての指導

抗HIV薬

  1. 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
  2. 服用患者のアドヒアランスの確認(服用する回数や時間がライフスタイルと合致しているかの確認、アドヒアランス低下による薬剤耐性HIV出現のリスクについての説明)
  3. 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育(重大な副作用の 発見のため、発熱、発疹等の初期症状について指導し、体調変化の有無について確認)
  4. 効果の確認(適正な用量、可能な場合の検査値のモニター)
  5. 一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及び食事との相互作用の確認

個別指導で注意された点と注意するべきポイント

1.薬歴の記載には「重篤な副作用」がしっかりと説明されているかという点に関して指導

2.どんな副作用があり、その初期症状は何か、症状が出たときの対処法を具体的に記載するように指導

3.同内容の指導で算定する際には理由を記載するよう指導

個別指導後の薬歴はこう変わった

処方内容(例のために用法用量等は記載していません)

クロピドグレル、アムロジピン、シタグリプチン、メトホルミン

Before

S:

歯の調子が悪く、来週歯科受診予定

服薬忘れもなく、副作用も感じていない

O:

HbA1c:7.4

→薬剤の効果の確認

服薬コンプライアンス良好

→アドヒアランスの確認

A:

副作用もなく継続できている

出血の注意喚起

P:

副作用などのチェック

After

S:

歯の調子が悪く、来週歯科受診予定

服薬忘れもなく、副作用も感じていない

O:

ハイリスク薬:シタグリプチン、メトホルミン、クロピドグレル

→ハイリスク薬を明示

各薬剤の副作用の確認を行ったが、副作用の認識が薄いために再度指導を実施

→特定管理指導加算の算定理由を記載

HbA1c:7.4

血液検査結果などは手元になし、肝機能や腎機能は不明

→得られていない情報とその理由

歯科受診の際の抜歯についても手帳で注意喚起

→手帳も活用

A:

メトホルミンの副作用では乳酸アシドーシスに注意してください。乳酸アシドーシスの初期症状は食欲不振,吐気・嘔吐,下痢,腹部膨満感,腹痛といった消化器に注意してください。脱水などが原因となることがあるので水分補給が不足しないように注意しましょう。

→重篤な副作用について、初期症状と副作用を予防する対策について記載

シタグリプチンの副作用として非常にまれですが、急性膵炎も報告されています。急激なお腹の痛みなどが出た際にすぐに受診してください。

→重篤な副作用について初期症状と起きた際にどうすれば良いかの対応について説明

クロピドグレルの服薬中は出血に注意が必要です。歯科受診の際には抜歯などの可能性もあるのでお薬手帳を見せるようにしてください(手帳に出血の注意について注意喚起を記載)。

→ハイリスク薬すべてについて説明を行っている

P:

ハイリスク薬に対しての副作用諸症状のチェックと理解の確認

HbA1cの下がりが鈍化しているので治療提案も検討

肝機能や腎機能などの検査結果の確認

※正しいSOAP形式ではないのでご了承ください。私の場合の記載になります。個別指導の際に何を説明したかを問われるのでAssessmentのところに情報の提供内容を詳細に記載するようにしました。

悪い例でも新規個別指導と1回目の個別指導は許してもらえたのですが、2回目の個別指導で大きく注意を受けました。その注意を活かして良い例のように記載をそろえることに変更しました。そして3回目の個別指導のときは注意されることがなりましたとさ…めでたしめでたし

それにしても薬歴が長文になるので時間短縮のための手段も利用しています。