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Amazon薬局の記事について考えること

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あるサイトでAmazon薬局の誕生と今後の薬局業界を取り巻く厳しい環境という記事が載っていた。

記事の中にはAmazon薬局にも負けないオンライン・オフラインを強化した戦略を考えないといけないと書いてあります。マジですか!?同じ土俵でオンラインでも戦略に乗らないといけないのでしょうか。

小規模経営を行っている私としては答えは「No」です。

オンラインの土俵に乗ったときに間違いなくAmazonに勝てません。費用対効果に見合わないですし、オンラインは捨てても良いと思っています。とはいえ、現在はオンライン服薬指導の要件も満たしていて、届出も行っています。これはオンラインでの販路拡充ではなく、既存顧客のニーズへの対応を意識しての対応です。

ここまで書きましたが、今回のテーマは「Amazon薬局とは対抗しないぞ」ということではありません。今回のテーマは「働き方」です。既存の保険薬局ですらガチガチになっているルールの中で、Amazon薬局で働く薬剤師はどのような方なのでしょうか。

患者の立場として、Amazon薬局に求めているものは「簡便さ」の1点だと思われます。

そういった「簡便さ」だけを求める患者さんに対しての服薬指導を繰り返す虚しさは薬剤師ならば感じたことのあることだと思います。

Amazon薬局での働き方はイメージできそうでしょうか。

工場のようなところで大量の機械と薬が並んでいる。バックヤードで調剤された薬が機械からできあがる。それを機械が監査を行って、薬剤師が最終監査を行って袋に詰める。

次に、送られてくる大量の処方箋を1つずつ見て、患者にオンライン面談を行う。画面に映る患者は全員が初めて接する患者。性格もわからない。文字データから基本情報を把握してから取り組まないといけない。患者はほぼ全員が「簡便さ」を求めた「スピード重視」を希望する患者。何を聞いても「はい」「わかりません」「早くしてください」の返答しか得られない中、全ての薬剤の説明を実施しなければならない。

薬歴などの作業はさすがAmazonということで数十秒で終わる簡便さ。それに伴って、ひと月前をみてもふた月前を見ても同じ文言が並ぶ薬歴。

疑義紹介。オンライン面談の画面を切ってから、病院に連絡。病院からの返答を待って、再度オンライン面談。「早くしろ」という態度を取る患者。面と向かって話さないときは人は強くなるものだ。

管理薬剤師に任命されたときに呼ばれる個別指導。そもそも顔も合わせたことない薬剤師の薬歴について詰められる。マニュアルがしっかりできているので、回答はマニュアル通りに覚えるだけ。

あぁ、もう辞めた。薬剤師として患者の健康管理に貢献したいと思っていたが、すり減る精神。給料は同年代の薬剤師よりは高いけど・・・。私のやりたい薬剤師はこんなのではないと転職したが、マニュアル通りにしてきたからスキルがない。患者からの相談に対しての解決方法が見つからない。

ということで、働く人は変わり者だなぁと他人事ですね。患者のメリットは確かにあると思います。きっと流行ると思います。ただそれが脅威かというと私はそうは思いません。

薬局・薬剤師は医療資源。簡便さも大切だけど、地域のインフラとして機能することができれば、簡便さを超えた患者メリットが提供できると考えています

余談ですが、大きな地震などの災害があったときに地域の薬局は薬局の貯蔵庫になるという一面も持っています。だから患者には「ここ来ている人は薬も置いてあるし情報も持っているからどうにかできる方法がある。ここに来てない人はいつもの薬局まで歩いてでも行ってくれ」と伝えています。