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調剤過誤を起こした どうすればよい?

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記事の背景

調剤過誤はあってはいけないことです。しかし、ミスをゼロにすることは限りなく難しく、調剤過誤となるリスクはどんな薬剤師にもあります。

私自身も恥ずかしながら2019年に調剤過誤を起こしました。そのときの体験をもとに感じたことを記事にしました。調剤過誤を起こす前から準備をしておくことが重要です。

言葉の定義から整理する

調剤事故

医療事故の一類型。調剤に関するすべての事故関連して、患者に健康被害が発生したもの。薬剤師の過失の有無を問わない。

調剤過誤

調剤事故の中で、薬剤師の過失により起こったもの。調剤の間違いだけでなく、薬剤師の説明不足や指導内容の間違い等により健康被害が発生した場合も、「薬剤師に過失がある」と考えられ、「調剤過誤」となる。

ヒヤリ・ハット事例(インシデント事例)

患者に健康被害が発生することはなかったが、“ヒヤリ”としたり、“ハッ”とした出来事。患者への薬剤交付前か交付後か、患者が服用に至る前か後かは問わない。

調剤過誤を起こしたら

最初にすること

すべての報告などの流れをすべて忘れてしまったとしても、1点だけ忘れてはいけないことがあります。

患者への謝罪と安否の確認

場合によっては受診勧奨(救急なども検討する)

これだけは絶対に外してはいけません。もちろん医療人としてこれを外すということは許されないからです。ただ、それだけではなく、対応一つで患者の感情は大きく変化して、最悪の場合には訴訟などにも繋がりかねないという側面もあります。そのために全面的に患者の様態について心から心配し、その状態にしっかりと寄り添う必要があります。

患者への謝罪などが終わったら事務的な作業に移ります

日本薬剤師会は「調剤行為に起因する問題・事態が発生した際の対応マニュアル」を出しています。多くの方が「それ」を読んで流れに沿って報告すればよいでしょと思うかもしれませんが、実際にそれが難しいので記事にしました。実際に調剤過誤を起こした瞬間から心配と恐怖で手が震えます。35ページのマニュアルを読んでいく精神症状にはなれません。そのために最低限押さえておく点だけ報告して落ち着いたら他のところにも報告するくらいで問題ありません。

都道府県の薬剤師会に連絡

まずは都道府県の薬剤師会に連絡を行って指示を仰ぎましょう。都道府県の薬剤師会はこのような事態のときの窓口になってくれます。どのように報告を行えばよいか、患者の被害状況などに合わせた形でアドバイスをもらえるはずです。私の場合には報告書のFAXをしておくように指示されました。幸いにもトラブルは大きくなかったので、他の指示は特にありませんでした。

医療機関に報告

今回の県でどのようなミスがあったのか、どのように説明を行ったのか、また現在の患者の様態なども併せて報告しましょう。私の場合ですが、意外と医師は冷静で怒られることもありませんでした。

薬剤師賠償責任保険窓口に連絡

被害が発生したときの窓口になります(加入者のみ)。私の場合には訴訟や死亡、通院などは発せしませんでしたので、連絡することはありませんでしたが、現在の加入状況をもう一度確認しておくと良いでしょう。

体験記

私の場合には2019年に調剤過誤を起こしました(上記の規定によれば、もしかすると健康被害がほとんどないという点からヒヤリハット事例に当たるのかもしれません)。そのときの状況についてです。

精神的な負担

起きたのは血圧の薬の剤型用量の取り違えでした。

患者から「薬の紙と入っている薬が違うような気がする」という連絡があり家に向かいました。

「服薬後にいつもよりフラフラするような感じがあり、尻もちをついてしまった。おかしいと気になって見てみたら違った」という患者から話があったので、薬袋を確認すると、処方されたものと異なるものが入ってしました。

ふらついたときに頭などぶつけていないか、尻もちのときに腰を痛めていないか確認を行いました。とりあえず現在の状況では転倒の被害のみで、そこから発生する骨折や出血がなかったのは幸いでした。しかし、精神的には自責の念でいっぱいです。お昼過ぎに向かったのですが、当日の午後は仕事をしていても集中できませんした。

翌日も訪問して、薬を戻してからの状況などを確認したうえで、再度謝罪を行いました。翌日も少し精神的に落ちているところがあり、他の方でミスは起きていないかという不安が強くなりました。

1週間が経過して、再度状況を確認したところ経過は良好で受診することはなかったということした。その方は現在も当薬局を利用しています。

改善したこと

発生したときのフローチャートを確認しました。内容は先ほどの日薬が作成したものを使用しています。

特に被害の状況を整理するために、患者からの電話から細かく確認するように変更しました。またすぐに連絡があった際には一度訪問して確認するように徹底しました。

また、今回のミスによる報告は戒めとして、見えるところに貼ってあります。

まとめ

どんなに注意していてもミスは発生すると思っています。今回の事例を通して調剤過誤やヒヤリハットの報告には敏感になりました。そこで感じたことがあります。それは薬局の数にし対してミスの報告が少ないということです。現在はヒヤリハットの報告は増えていますが、以前はとても少ないものでした。大切なのはミスが起きたときに隠さない・嘘をつかないことだと思います。