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薬剤師が1人減ったら待ち時間はどうなる?

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薬剤師の人員構成も大切な薬局管理業務です。薬剤師の人件費も高いため、「少し減員したい」と考えている方もいるかもしれません。

簡単なことですよ。2人のところ1人でやるだけなのだから、10分待っているところを20分待ってもらうだけですね

いつもより10分くらい多く待たせたところで別に患者さんは怒らないでしょう!

服薬窓口を2つから1つにしたら待ち時間は2倍になるのか

薬局のモデルを考えてイメージしたいと思います。

モデル:前提

① 2名の薬剤師の処理能力は全く同一とします。

② どちらの薬剤師も6分間で1名の服薬指導を終わらせることができます。

③ この薬局では60分で平均6名の患者が来局します。

「稼働率」と「平均待ち時間」を考えて計算する必要があります。

稼働率=(一定時間に来局する患者数)÷(一定時間に服薬指導する患者数)

薬剤師2名がいる場合の稼働率を60分で計算すると、薬剤師2名の場合には服薬指導窓口に3名並ぶのに対して、薬剤師1名では6名が並ぶので下記の計算になります。

薬剤師2名体制の場合:3÷10→稼働率は0.3

薬剤師1名体制の場合:6÷10→稼働率は0.6

それでは平均待ち時間を計算していきます。

平均待ち時間=(稼働率)÷(1-稼働率)×1人当たりの平均所要時間

これが計算となるので、実際に薬剤師の人数で計算してみると

薬剤師2名体制の場合:0.3÷(1-0.3)×6分→2.57分

薬剤師1名体制の場合:0.6÷(1-0.6)×6分→9分

あれ?1名にしたら2.57分を2倍した時よりも長くなるぞ?

このように稼働率を意識して計算して初めて【患者の満足度】と【人件費】を天秤にかけることができます。薬剤師が1名減ることで利益は上げることが可能かもしれませんが、将来的に満足度の低い薬局には患者が集まりにくくなるでしょう。

薬局の業態はコンビニのレジとは異なるので『相談』などの業務がこの中に入り込むことがあります。理論的には2倍よりも長くなるという計算ですが、実際はもっと長くなることも可能性があります。さらに、今回のケースはあくまでも服薬指導窓口だけの計算なので、対物業務などをさらに計算すると大きく差が出ることも想定されます。

待ち時間が長くなるので、待ち時間をストレスに感じさせない方法も追加で考える必要がありますね

稼働率が高いというのはどういうことか

稼働率が高いということは良いことなのでしょうか?稼働率は生産可能な能力から算出される数値のために100%は限界です。

個々の工程で見ても、仮に稼働率が100%に近い従業員がいれば配置転換や増員を行う必要があります。稼働率が100%になっている工程が律速段階になってしまい、その後の作業が進まなくなってしまうためです。

飲食店に行ったときに数名のお客さんのときはスムーズにビールもおつまみも提供されるのに、混みだすとビールもおつまみも提供されず、さらにお皿も回収されず…この店のオペレーションはダメだなと感じることはありませんか?それがまさにどこかの稼働率が100%になっている状態です。

念のために

稼働率が1(100%)という稼働率の限界を迎えているとどうなるのでしょうか。計算すると待ち時間が∞になっていきます。計算からも職員が逃亡したことがわかります。限界まで働かせるほど患者満足度も従業員満足度も下げてしまいます。

個人的にこのことがあるので、営業を外部委託して『取れるだけ仕事を取ってくる』というのはオススメしていません。営業部門と調剤部門の稼働率の疎通がうまくできていないと、営業部門の新規開拓の手も止まり、調剤部門の患者さんに対する手も止まるということが起きます。こうなると外部委託した営業費は無駄になりますし、調剤部門の疲弊感に繋がってしまいます。

自分自身も肝に銘じておかねば!

待ち行列理論についてもう少し勉強したい方はコチラから↓